2005 Fiscal Year Annual Research Report
光環境と気温による葉菜中硝酸イオン濃度制御法の開発
Project/Area Number |
17380155
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
伊藤 博通 神戸大学, 農学部, 助教授 (00258063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TZENKOVA R.N. 神戸大学, 農学部, 助教授 (30294200)
白石 斉聖 神戸大学, 農学部, 助手 (00304121)
宇野 雄一 神戸大学, 農学部, 助手 (90304120)
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Keywords | 葉菜中硝酸イオン濃度 / LED光源 / R / B比 / 近赤外線分光法 / 主成分回帰 / 主成分分析 / 窒素代謝 / 養液中成分イオン |
Research Abstract |
1.研究実施概要 人工気象器内でレタス(グリーンウェーブLacutuca.sativa L.,cv. "Greenwave")を2週間だけ水耕栽培した。気温を23℃に設定し、対照区では光源に蛍光灯を、試験区ではLED光源を使用した。ピーク波長660nmの赤色LEDと同470nmの青色LEDを使用し、両者の光量子束密度(PPFD)比即ちR/B比により光質を決定した。採用したR/B比は次の8種類である。0.33,1.13,2.29,3.42,5.60,7.66,10.93,R100%。各試験区で6株栽培した。養液は大塚ハウス1号及び2号を調合して作成し、1週間に一度交換した。栽培期間中の各日毎に葉内硝酸イオン濃度、養液中多量要素成分イオン(NO_3^--N、NH_4^+-N、PO_4^<3->-P、K^+、Ca^<2+>、Mg^<2+>、SO_4^<2->-S)濃度、生体重、養液pH及び養液ECを測定した。また、収穫日には乾物重を測定した。R/B比による葉内硝酸イオン濃度の経日変化を測定し、その変動の原因を養液中成分イオンの吸収特性の変化に求めた。葉内硝酸イオン濃度は近赤外線分光法により非破壊かつリアルタイムで計測した。養液中の成分濃度はキャピラリー電気泳動法によって測定した。 2.実験結果および解析 近赤外線分光スペクトルから葉内硝酸イオン濃度を推定する検量線式を主成分回帰法によって求めた。検量線の寄与率は0.705810となった。葉単位ではなく株単位の硝酸イオン濃度を推定するため、測定条件を一定に保ちにくいことに鑑みれば上記寄与率は高い値と言える。試験区毎に養液中の各イオン濃度を説明変量とする主成分分析を行って葉内硝酸イオン濃度の経日変化を要約する主成分を抽出した。この分析の結果、葉内硝酸イオン濃度の変動は養液中イオン成分の吸収特性からは説明できないことがわかった。また、R/B比が低い(青の割合が多い)ほど乾物率が高く、かつ葉内硝酸イオン濃度が低くなることがわかった。これらの解析結果からR/B比の違いは葉内硝酸イオン濃度の変化をもたらすが、硝酸イオンの供給源である養液中イオンの吸収特性には影響しないことが明らかになった。以上の結果、葉内硝酸イオン濃度が変化した原因は光質の違いが光合成や窒素代謝の活性に差を生じせしめたためであるという結論に達した。
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