2006 Fiscal Year Annual Research Report
サブトラクション法による脂肪交雑遺伝子の単離と発現制御機構の解明
Project/Area Number |
17380165
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
麻生 久 東北大学, 大学院農学研究科, 助教授 (50241625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 高弘 東北大学, 大学院農学研究科, 教授 (20111297)
大和田 修一 東北大学, 大学院農学研究科, 助手 (00183244)
渡邊 康一 東北大学, 大学院農学研究科, 助手 (80261494)
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Keywords | 牛筋肉内脂肪前駆細胞株 / BIP細胞 / 脂肪細胞分化 / サブトラクション / 血清型glutathione peroxidase / C / EBPδ / 脂肪蓄積マーカー / デキサメサゾン |
Research Abstract |
サブトラクションした遺伝子断片を用いて、BIP細胞分化誘導4日目のcDNAライブラリーから遺伝子を単離したところ、ウシ血清型glutathione peroxidase(pGPx)の配列と一致した。BIP細胞の脂肪細胞分化誘導におけるpGPx遺伝子および蛋白質の経時的な発現を解析し、遺伝子発現は分化誘導2日目から増加して4日後には最大となり、蛋白質は分化誘導6日目で発現の増加が確認された。また、pGPxは活性部位にセレノシステインを持ち、培養上清中におけるpGPx蛋白質の発現はセレン添加により増加し、セレン濃度依存的に蛋白質への翻訳が制御されていることが確認された。脂肪細胞分化におけるpGPx発現の要因となる転写因子および分化誘導因子の解析を行い、pGPxおよびC/EBPδの発現が共に脂肪細胞分化過程で増加し、これらの発現は主にデキサメサゾンにより誘導されることが判明した。pGPx発現と脂肪細胞分化の特異性を確認する為、マウス(3T3-L1)およびヒト脂肪前駆細胞を用いてpGPxおよび細胞型glutathione peroxidase(cGPx)の発現を解析した。3T3-L1はcGPxを発現し、BIPはpGPxを発現していたが、ヒト脂肪前駆細胞は両方の遺伝子を発現していたことより、動物種で発現しているGPxファミリーに違いがあることが判明した。また、C/EBPδがデキサメサゾンにより発現が誘導される報告と、マウスpGPxゲノムDNAの上流にCCAATモチーフの存在が確認されていることから、C/EBPδがpGPxの発現に関与している可能性が示唆された。組織におけるpGPx遺伝子の発現は、腎臓が最も高く、次いで脂肪組織で高いことが判明した。pGPx蛋白質発現は、内臓脂肪が特異的に高かった。pGPxは、脂肪細胞分化時に抗酸化酵素として脂肪酸酸化からの防御、恒常性の維持等に働いている可能性が考えられる。加えて、pGPxはヒト、ウシの脂肪組織で発現しており、内臓脂肪での蛋白質の特異的な見られる事から、脂肪蓄積および内臓脂肪型肥満のマーカーとなる可能性があることを発見した。
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Research Products
(7 results)