2008 Fiscal Year Annual Research Report
家畜卵巣内卵母細胞の発育開始制御と体外発育法の開発
Project/Area Number |
17380169
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮野 隆 Kobe University, 農学研究科, 教授 (80200195)
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Keywords | 卵母細胞 / 卵胞 / 体外培養 / 異種移植 / FOXO3A |
Research Abstract |
家畜卵巣内の発育開始前あるいは発育途上の卵母細胞から成熟卵を生産する技術を作出するとともに,原始卵胞内卵母細胞の発育開始機構を明らかにすることを目的として,以下の課題について研究を進めた。研究材料としては,と畜場で採取したブタおよびウシの卵巣と10-20日齢の仔ブタの卵巣を使用した。 1.成体卵巣由来原始卵胞内卵母細胞のFoxo3A蛋白質のsiRNAによるノックダウン法の確立 成体のブタおよびウシの卵巣の表層から切り出した原始卵胞を多数含む組織片を用いて,siRNAが卵母細胞中へ導入されることを蛍光色素で標識したFOXO3A siRNAiを用いて確認した。ブタFOXO3Aに対する2種のsiRNAを用いて,原始卵胞内の卵母細胞のFOXO3Aノックダウンを試みたところ,どちらのsiRNAによっても卵母細胞のFOXO3Aの発現は低下した。また,ウシFOXO3A mRNA配列から作成したsiRNAによって,成体のウシ卵巣の原始卵胞中の卵母細胞のFOXO3Aノックダウンを試み,卵母細胞のFOXO3Aの発現が同様に低下することを明らかにした。 2.siRNAによる原始卵胞内卵母細胞の発育開始制御 siRNA処理後のブタおよびウシ原始卵胞を含む卵巣組織片をSCIDマウスに移植したところ,対照siRNAで処理した原始卵胞は発達しなかったが,FOXO3Aをノックダウンした原始卵胞の一部は二次卵胞以降へと発達した。この結果は,FOXO3Aが成体の卵巣における原始卵胞の卵母細胞の発育開始を抑制的に制御していること,またFOXO3Aの発現を一時的に抑制すれば,卵母細胞に発育開始を誘導できることを示唆している。 3.ウシ二次卵胞の長期培養法の開発 卵巣の表層から切り出したウシ二次卵胞をコラーゲンゲルに包埋し,血漿を添加した培養液中で6-8週間培養した。培養開始時約60μmであった卵母細胞は,培養6週間後には直径約100μmへと発育したが,この実験系ではその後培養期間を延長しても卵母細胞はさらには発育しなかった。
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Research Products
(6 results)