2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17380170
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
金子 浩之 独立行政法人農業生物資源研究所, 動物科学研究領域生殖機構研究ユニット, 上級研究員 (60343993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏崎 直巳 麻布大学, 獣医学部, 教授 (90298232)
菊地 和弘 独立行政法人農業生物資源研究所, 動物科学研究領域生殖機構研究ユニット, 主任研究員 (20360456)
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Keywords | 応用動物 / 発生・分化 / 異種間移植 / 未成熟生殖細胞 / 核置換 / ホルモン処理 / 胚発生 |
Research Abstract |
ブタ原始卵胞を移植したヌードマウスに卵胞刺激ホルモン(FSH)を投与することによって、ブタ原始卵胞由来の卵母細胞に低率(1%)ながらも胚発生能を付与できた(Kaneko et al.2006)。胚発生率が低い原因は、移植組織から回収した卵母細胞の細胞質成熟が不十分であるためと推定される。そこで、胚発生率の向上を目的としてホルモン処理法の改良による細胞質成熟の向上を試みた。さらに、原始卵胞由来の成熟卵母細胞の核と、別途準備した成熟卵母細胞の細胞質とを融合させる手法(核置換)の基礎実験として、屠場由来の卵母細胞を用いて再構成卵を作出した。 1.ヌードマウスへのホルモン処理法の改良による胚発生率の向上の試み:原始卵胞から構成される生後20日齢のブタ卵巣皮質をヌードマウスの腎皮膜下に移植した。移植後120日前後に、プロジェステロンチューブをマウスの皮下に留置した。チューブの留置1週間後にブタFSHを充填した浸透圧ポンプを皮下に留置し、3週間後に移植卵巣を回収した。11匹のヌードマウスから210個の直径115μm以上の卵母細胞が回収された。体外成熟後115個がMII期に移行し(55%)、移行率(成熟率)は無処理(25%)あるいはFSH単独処理(35%)に比べて改善した。しかし、体外受精後の初期胚への発生は2卵子のみで(2%)、その他の卵子は2〜8細胞で停止し、さらなる手法の改善が必要である。 2.核置換を利用した再構成卵の作製:屠場卵巣由来の成熟卵母細胞をパーコール溶液内で遠心し小片化した。核板を含む細胞質小片と、核板を含まない細胞質小片とを、電気融合させ、再構築卵を作出した。活性化刺激後6日間培養した結果、40個のうち2個が胚盤胞へと発生した。次年度は、この手法を用いて、原始卵胞由来の成熟卵母細胞の核と、別途準備した成熟卵母細胞の細胞質とを融合させて初期胚の発生能を解析する。
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