2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17380171
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮沢 孝幸 京都大学, ウイルス研究所, 特別教育研究助教授 (80282705)
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Keywords | ネコ免疫不全ウイルス / リンパ球 / ネコ科動物 / CD134 / 種間伝播 / ワクチン / 後天性免疫不全症 / 受容体 |
Research Abstract |
FIVは猫にAIDSを引き起こすウイルスである。ワクチンはアメリカ等で既に販売されており、国内においても販売認可の検討がなされている。ワクチン接種猫はFIV特異抗体が誘導されるため、抗体を検出する現在の検査法では感染猫と非感染猫を区別することができない。そこでワクチン導入後のFIV感染の確定診断にはウイルス分離法による診断が必要とされる。FIVの分離にはリンパ芽球系株化細胞を用いるが、その細胞の維持は高価なIL-2も必要とされる。そこでIL-2非依存性のFIV分離用付着系細胞の樹立を試みた。マウス白血病ウイルスベクターを用いて、ネコ星細胞腫由来G355-5細胞に、FIVの主受容体であるネコCD134遺伝子を導入し、CD134発現細胞(G355/fCD134細胞と命名)を樹立した。またFIVの感染価をより簡便に測定するために、「96穴プレート上で感染からウイルス抗原検出までを行う」新たなFIV感染価測定法を開発した。そしてG355/fCD134細胞にリンパ球指向性分離株であるTM2株を感染させ、ウイルス増殖性を調べた。今回新たに開発したFIV感染価測定法により、従来法では感染からウイルス抗原検出までかかった時間を、12日間から3日間までに大幅に短縮することができた。また、TM2株はG355/fCD134細胞に効率よく感染し、CPEを誘導しながら、持続感染状態になることがわかった。これらのことから同細胞は、リンパ球指向性FIVの分離用細胞のみならず、ワクチン製造用の細胞としても活用できる可能性が示唆された。さらに興味深いことに、G355/fOX40細胞で持続感染したTM2株(TM2 PI株と命名)はCD134に非依存的にG355-5細胞に感染することが明らかとなった。今後、このTM2 PI株を用いることで、ネコ科動物がもっているFIV抵抗性因子の解析が容易になると考えられた。
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Research Products
(6 results)