2005 Fiscal Year Annual Research Report
家畜卵の発生工学への利用性向上を目指したタンパク質合成・分解制御機構の解析
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17380173
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内藤 邦彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20188858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 不学 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (20175160)
千田 和広 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (00192188)
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Keywords | 哺乳類卵 / タンパク質合成 / タンパク質分解 / Aurora A / APC / cdc20 |
Research Abstract |
本研究は、哺乳類卵の初期発生過程において、胚が正常に分裂増殖するためのタンパク質の合成と分解を制御する分子機構を解明することを目的とするものである。本研究では特に家畜卵の減数分裂過程を例にとり、タンパク質の合成に関与する因子としてAurora Aに、また分解に関与する因子としてユビキチン・プロテアソーム系に働くユビキチンリガーゼである分裂後期促進複合体(APC)活性化因子のcdc20,cdh1に注目した。 その結果、Aurora A、cdc20、cdh1の3因子がブタ卵巣内の卵に存在することをRT-PCRにより確認し、さらに全長配列をクローニングすることに成功した。これらのシークエンスにより全配列を決定し、3遺伝子をジーンバンクに登録した。 ブタ卵の減数分裂過程における発現動態を解析したところ、Aurora A、cdc20、cdhlのmRNAおよびAurora A、cdc20のタンパク質は減数分裂過程を通して存在しその量はほぼ一定であることが示された。ブタ卵内のAurora Aタンパク質は体細胞の約100倍という高濃度の発現が確認され、その機能の重要性が示唆された。しかし、Aurora A mRNAのブタ卵細胞質注入による過剰発現やアンチセンスRNAの注入による発現抑制をした結果、ブタ卵の減数分裂には大きく影響しないことが示された。これはAurora Aタンパク質がブタ卵巣内の卵に既に十分量存在するためと考えられる。次年度は、あらかじめ卵内のタンパク質を枯渇させた条件でその機能を調べる予定である。また、Cdc20についてもアンチセンスRNAの注入による発現抑制を行っており、未だ予備的なデータではあるが、第一減数分裂中期(MI)以降で本来分解されるべきcyclin B1の分解が抑制され、MI期で停止することが示唆されている。cdc20でさらにデータを追加し確実な結果を得るとともに、残りのcdhlについても同様の実験をする予定である。
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Research Products
(3 results)