2005 Fiscal Year Annual Research Report
動物プリオン病の病態と体内伝播を規定する宿主要因の検索と神経免疫機構に関する研究
Project/Area Number |
17380180
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
石黒 直隆 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (00109521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸尾 幸嗣 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (40124276)
柳井 徳磨 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教授 (10242744)
桑田 一夫 人獣感染防御研究センター, 教授 (00170142)
堀内 基広 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30219216)
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Keywords | プリオン / 免疫 / 神経 / 体内伝播 / マウス / BSE / スクレイピー / 回腸遠位部 |
Research Abstract |
動物プリオン病の自然発症例の多くは、羊、山羊、鹿、牛などの反すう獣であり、発症する宿主により病態が異なる。羊や山羊のスクレイピーでは異常プリオン蛋白質(プリオン)が体内の多くの免疫系組織に蓄積するのに比べ、牛海綿状脳症(BSE)では特定危険部位(脳、脊髄、腸管遠位部)に蓄積するのみである。こうした病態の違いは、宿主の有する免疫システムと神経システムに依存すると考えられるが、種の特異性に関してほとんど解析されていない。本年度は、牛における神経系の伝達網に関して、逆行性のトレーサを用いて検討した。また、回腸遠位部におけるプリオンの取り込みと排除能を知る目的で、牛由来の培養系マクロファージでのプリオンの分解能に関して検討した。 1)牛神経系のトレーサ実験:2ヶ月令の子牛の回腸遠位部にトレーサを注入し、3〜4日後に生体全体を還流固定して、トレーサ陽性神経細胞を検出した。その結果、脊髄神経節T13〜L2と腹腔・前腸管膜動脈神経節で陽性細胞が検出されたが、延髄閂部の迷走神経細胞では検出されなかった。回腸遠位部から取り込まれたプリオンが内臓神経を介して脊髄に上行するか、あるいは迷走神経を介して中枢神経系に上行するかは、今後ともトレーサ量を多くするなり、繋留期間を長くするなりして検討する必要がある。 2)牛のプリオンに対する宿主応答:牛免疫系でのプリオンの応答について、牛由来マクロファージをモデルに取り込みと分解能に関して解析した。その結果、牛マクロファージ培養細胞に添加した1%スクレイピー感染マウス脳乳剤は、培養6日目ぐらいから減少していくことが、ウエスタンブロット解析により明らかとなった。腸管の組織でのマクロファージが同様な機能を有しているかどうかは今後検討する必要がある。
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Research Products
(3 results)