2005 Fiscal Year Annual Research Report
デスモゾーム融合蛋白を用いたELISAによる犬の天疱瘡の血清診断方法の開発
Project/Area Number |
17380187
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
岩崎 利郎 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (50262754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桃井 康行 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助教授 (40303515)
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Keywords | 自己免疫性疾患 / 天疱瘡 / デスモゾーム蛋白 / デスモグレイン / ELISA |
Research Abstract |
天疱瘡はヒトおよび犬をはじめとする動物にみられる自己免疫性皮膚疾患であり、治癒がむつかしいためその治療には難渋し、犬でも獣医師を悩ます疾患である。近年、ヒトと同様に犬の尋常性天疱瘡ではデスモゾーム蛋白の一種であるデスモグレイン3が自己抗体の標的蛋白であることをわれわれのグループが突き止めた。一方、犬で最も多い自己免疫性皮膚疾患とされる落葉状天疱瘡についてはその自己抗体の標的蛋白が不明であり、ヒトの落葉状天疱瘡との異同、病態と発症機序ならびに診断と治療についての情報がほとんどない。本研究ではまず尋常性天疱瘡で、犬のデスモグレイン3に対する自己抗体に病原性があるかどうかを検討し、尋常性天疱瘡血清がリコンビナントの犬デスモグレイン3を認識し、さらにその血清はケラチノサイト培養細胞の細胞間結合をdissociationすることを突き止めた。このことから犬の尋常性天疱瘡ではデスモグレイン3に対する自己抗体がデスモグレイン3の結合を障害し、表皮組織に解離が生じるものと思われた。本研究により犬の尋常性天疱瘡の病態のおおよそは解明された。 犬の落葉状天疱瘡では間接蛍光抗体法が陽性で、かつ培養ケラチノサイト細胞間に対して陽性反応を示す犬患者血清を用いてELISAを実施した。その結果、リコンビナントのデスモグレイン1と反応したものは少なく、考察するに十分な結果はまだ得られていないが、正常犬血清と落葉状天疱瘡血清の間には反応の差はあるものの、両者間に重なりがみられ、まだ診断には用いられないと考えられる。現在は当大学以外からの血清をブラインドで検討しさらに解析を進めている。
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