2005 Fiscal Year Annual Research Report
マングローブ実生胚軸のガス交換機能から見た耐塩性機構の解明および植林技術への展開
Project/Area Number |
17380193
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
北宅 善昭 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (60169886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 俊夫 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (50316014)
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Keywords | マングローブ / 胚軸 / O_2濃度 / 葉面コンダクタンス / 植林 / 根 / ヒルギ科 / 光合成 |
Research Abstract |
ヒルギ科マングローブ幼植物の胚軸・根内O_2濃度、胚軸から根へのO_2拡散速度および葉のガス交換速度について検討した。 その結果、オオバヒルギ実生の胚軸内O_2濃度は、潮位上昇に伴う胚軸の水没によって胚軸露出時の約1/3に低下した。潮位が低下し、胚軸が露出すると、胚軸内O_2濃度はほぼ水没前の値まで回復した。根内O_2濃度は胚軸内O_2濃度の2/5〜3/5であった。胚軸内O_2濃度の低下に伴い、根内O_2濃度は低下した。胚軸の水没によって、胚軸および根内O_2濃度は低下した。胚軸水没時、胚軸と根内O_2濃度の差は無処理時とほぼ等しく、胚軸の水没に伴う胚軸から根へのO_2拡散速度の変化はみられなかった。また葉面コンダクタンスも変化しなかった。一方遮光・水没時、胚軸から根への02拡散速度は無処理時の値の1/10に低下し、葉面コンダクタンスは無処理時の3/5に低下した。純光合成速度は葉面コンダクタンスとほぼ同様の傾向を示した。フタバナヒルギもオオバヒルギとほぼ同様の変化を示した。一方、コヒルギでは胚軸の水没処理によって胚軸から根へのO_2拡散速度および葉面コンダクタンスがそれぞれ無処理時の3/5に低下した。純光合成速度も葉面コンダクタンスとほぼ同様の変化を示した。メヒルギもコヒルギと同様の傾向を示した。 以上、マングローブ実生においてO_2は濃度勾配に従って胚軸から根へ拡散すること、また胚軸内のO_2は大気からの拡散および胚軸での光合成によって供給されていることが明らかとなった。コヒルギおよびメヒルギでは、大気から胚軸内へのO_2拡散抑制により胚軸から根へのO_2拡散が抑制され、葉のガス交換速度が低下した。したがって、これら樹種の幼植物は、胚軸が長時間水没することで成長が抑制されると考えられる。他方、マングローブ幼植物は胚軸表面での受光量を高めることで冠水時間の長い場所での植林に用いることができると考えられる。
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