2005 Fiscal Year Annual Research Report
特定有害蛋白質をターゲットとした高感度分析用糖鎖チップの構築技術の開発
Project/Area Number |
17380202
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鵜沢 浩隆 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオニクス研究センター, 研究チーム長 (60356566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和泉 雅之 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオニクス研究センター, 研究員 (80332641)
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Keywords | 糖鎖 / チップ / 有害蛋白質 / 生体機能利用 / センシング |
Research Abstract |
糖鎖は、糖蛋白質、糖脂質等として細胞表層に存在し、細菌、ウィルス、毒素などの受容体として機能している。近年、生体にとって重要なこの糖鎖分子を材料工学的に応用し、糖鎖の機能を巧みに利用したセンサーの開発が試みられている。そこで本研究では、有害蛋白質と特異的に結合する糖鎖をセンサー基板表面に固定化する技術を開発することを目的として研究を進めたところ、次の点が明らかとなった。 (1)鍵糖鎖ユニットの合成 鍵となる糖鎖として、大腸菌O-157由来のベロ毒素と特異的に結合するガラクトビオース(Gb2)、一般大腸菌の結合するマンノース、ラクトース、分子内にヘテロアニオンを有するグルクロニル硫酸化2糖をモデル化合物に選び、これらを化学的、酵素的に合成した。配糖体部位のリンカーには、後述の反応性ポリマーとカップリングさせるため、適当な長さのアルキル鎖や芳香族基のいずれかをスペーサーとして有し、その末端にアミノ基を導入した糖誘導体を調製した。(2)機能性糖ユニットを組み込んだアニオン性糖鎖ポリマーの合成 先に合成した配糖体の末端にアミノ基を有するGb2糖鎖、マンノース、ラクトースと、反応性ポリマーであるpoly(ethylene-alt-maleic anhydride)とを反応させ、各ポリアニオン性糖鎖ポリマーを合成した。糖鎖の含量は、フェノール-硫酸法により決定した。(3)交互積層法による糖クラスター膜の作成 上記の糖鎖ポリマーを交互積層法により金表面に累積した。ポリマーを固定化した各積層膜は、反射赤外法(FTIR-RAS)により確認した。 以上より、ポリアニオン性糖鎖ポリマーを交互積層法により簡便にセンサー基板に固定化できる技術を開発できた。本法により構築される糖鎖チップは、毒素等の有害蛋白質と結合可能であり、表面プラズモン共鳴法などと組み合わせて当該蛋白質を感度よく検知できると期待される。本研究の特長は、構造上ユニークなポリアニオン糖鎖ポリマーを、交互積層法によってシンプルに基板表面に固定化するアプローチであり、糖鎖を応用した例は、殆ど知られていない。本成果は、次年度以降に検討する、毒素などの有害蛋白質を検知する研究へと発展させることができる。
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Research Products
(4 results)