2006 Fiscal Year Annual Research Report
特定有害蛋白質をターゲットとした高感度分析用糖鎖チップの構築技術の開発
Project/Area Number |
17380202
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST) |
Principal Investigator |
鵜沢 浩隆 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオニクス研究センター, 研究チーム長 (60356566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和泉 雅之 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオニクス研究センター, 研究員 (80332641)
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Keywords | 糖鎖 / チップ / ベロ毒素 / 生体機能利用 / センシング |
Research Abstract |
糖鎖は、糖蛋白質、糖脂質等として細胞表層に存在し、細菌、ウィルス、毒素の受容体として機能している。近年、生体にとって重要なこの糖鎖分子を材料工学的に応用し、糖鎖の機能を巧みに利用したセンサーの開発が試みられている。本研究では、有害蛋白質と特異的に結合する糖鎖をセンサー基板表面に固定化する技術を開発することを目的として研究を進めたところ、次の点が明らかとなった。(1)交互積層法による糖鎖チップを使用した、ベロ毒素の検知技術:前年度に開発した糖鎖チップ(Gb_2、Lac、Man)に対して、大腸菌O157のベロ毒素が結合するかを表面プラズモン共鳴(SPR)法により検討した。その結果、Gb_2糖鎖ポリマーを固定化したチップに対して、高い特異性をもってベロ毒素が結合することがわかった。Gb_2糖鎖含量を3%,13%,25%,43%と変化させたとき、13%以上の糖鎖が毒素検出に有効であることがわかった。43%のGb_2を含有したチップを用いたときに10ng/mLの毒素を検出できたので、これを検出限界と決定した。これは致死量の1/30に相当する。分析時間は30分であった。結合定数は10^9に達し抗原抗体反応に匹敵する強い結合であることが明らかになった。阻害実験を行い、特異的な結合であることを実証した。(2)天然型セラミドを模倣した糖鎖リガンドの合成と固定化:配糖体に天然セラミド構造を有するガラクトシルセラミドを酵素法と化学合成法を併用して合成し、これを金基板表面に固定化した。この糖鎖被覆チップについて、X線光電子分光法やエリプソ法で表面の状態を解析したところ、膜厚は11Å,チルト角は40°,1nm四方に3-4分子の糖鎖が固定化されていることが明らかとなった。又、ニトロフェニル(pNP)基を有するガラクトース誘導体も合成し表面解析したところ、セラミド型よりも固定化密度が低いことがわかった。(3)シアル酸、硫酸基を含有する糖誘導体の合成とチップ作製:主に加水分解酵素や転移酵素を用いて、還元末端にpNP基を有するNeuNAcα2-3LacNAc、NeuNAcα2-6LacNAcを、又、硫酸基を有する6-SO_3-GlcNAcα1-4Glc、6-SO_3-GlcNAcα1-4GlcNAcを合成した。硫酸化糖は、アセチルヘキソサミニダーゼによる転移反応を利用した。シアル酸含有糖鎖にリポ酸を導入後金基板に固定化して、ヘマグルチニンに対する結合能をSPRにより評価した。その結果、A/H1,A/H3,A/H5、B型ともに高い結合力を示した。
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Research Products
(2 results)