2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17390004
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
濱田 康正 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90117846)
|
Keywords | ルテニウム / イリジウム / 触媒的不斉水素化反応 / 動的速度論的分割 / アンチ選択的 / β-ケト-α-アミノ酸 / β-ヒドロキシ-α-アミノ / 触媒的不斉合成法 |
Research Abstract |
本研究では省エネルギー型新化学反応といえるルテニウムとイリジウム遷移金属触媒を用いた触媒的不斉合成法の開発と応用を目的として研究を行った。最近、我々はβ-ケト-α-アミノ酸のβ-ヒドロキシ-α-アミノ酸への不斉水素化反応においてルテニウム触媒を用いる動的速度論的分割を伴うアンチ選択的触媒的不斉水素化反応を世界に先駆けて見出した。この反応では芳香族基質を用いた場合、水素化反応がほとんど進行しないことが判明している。そこでこの欠点を克服するために種々の遷移金属を検索したところイリジウムが芳香族基質に適していることを見出した。このイリジウム触媒を用いるβ-ケト-α-アミノ酸の動的速度論的分割を経由して進行するアンチ選択的不斉水素化反応は世界ではじめての発見である。これらの研究をもとに生物活性天然有機化合物や医薬品に含まる重要なアミノ酸であるアンチ型β-ヒドロキシ-α-アミノ酸の一般合成法を開発することに成功した。これらの高選択的で高収率である遷移金属不斉水素化法の欠点をあえて挙げれば100気圧という高圧条件である。危険が伴う、特別の装置が必要ある等は企業化の障害になっている。そこで中圧条件(10気圧以下)で効率よく進行する不斉水素化法を検討した。上記の不斉イリジウム触媒を元に改良し、カチオン性イリジウム触媒として用いることで常圧から中圧程度で効率よく不斉水素化反応が進行することを見出した。この際カウンターアニオンが触媒の安定性、反応性に重要な働きをしていることが判明している。本法は動的速度論的分割を伴う触媒的不斉水素化反応という複雑な反応系で常圧で反応が進行し、芳香族基質および脂肪族基質の両方に適用可能であるという特徴を有している。
|