2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17390004
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
濱田 康正 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (90117846)
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Keywords | 不斉イリジウム触媒 / β-ヒドロキシ-α-アミノ酸 / 触媒的不斉合成法 / ジアミノホスフィンオキシド / 不斉4級炭素 / パラジウム / ニトロメタン / アリル位置換反応 |
Research Abstract |
地球環境問題は資源エネルギー問題と並んで21世紀の重要な課題である。この問題における化学としての対応は一言で言えば「環境との共生による化学」であろう。物質生産を目的とする有機合成化学にあっては省エネルギー型の新触媒反応の開発がこれに答える道である。このような観点から遷移金属触媒を用いる触媒的不斉合成法の開発を行った。そしてイリジウムを用いる動的速度論的分割を経由するβ-ヒドロキシ-α-アミノ酸の触媒的不斉合成法の開発に成功した。ここで発見した第一世代不斉イリジウム触媒は100気圧という高水素圧条件を必要とし、改善の余地を残していた。そこで低圧条件で進行する触媒を探索したところ弱配位性のカウンターアニオン(BARF)を共存させる第2世代不斉イリジウム触媒を発見した。この第2世代不斉イリジウム触媒では1気圧の水素圧条件でも高い選択性で不斉水素化反応が進行する。これらの研究によりβ-ヒドロキシ-α-アミノ酸合成の強力な方法の開発に成功した。これらの研究と平行してこれまでに無い不斉配位子の開拓を目的としてジアミノホスフィンオキシド(DIAPHOX)の触媒的不斉合成法への応用を検討した。これまでにアスパラギン酸から誘導したDIAPHOXとパラジウム(Pd)を用いて世界でトップレベルの不斉4級炭素構築法を見い出した。このDIAPHOX-Pdを用いるアリル位置換反応では求核剤としてニトロメタンを用いる反応やアリルカーボネートとしてシクロヘキセンカルボン酸エステル誘導体を用いる反応系にも適用可能であることが判明している。特にシクロヘキセンカルボン酸エステル誘導体からは高エナンチオ選択的に有用な多官能性化合物が得られる。また、DIAPHOXはイリジウムとの組み合わせでも高い不斉アリル位置換反応を触媒する事が明らかになった。
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