2008 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴミエリンとコレステロールの急性危険因子としての作用に関する研究
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17390011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
半田 哲郎 Kyoto University, 薬学研究科, 教授 (00025719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 実 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (70314226)
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Keywords | カイロミクロンレムナント / コレステロール / apoE / リソソーム膜ストレス / apoA-I / areβ-HDL / apoB / 細胞障害 |
Research Abstract |
交付申請書の研究目的に対する成果を以下に記す。 1. 脂質粒子(カイロミクロン、VLDLモデル)中の過剰CholやSMがapoEの働きに媒介されて細胞障害を引き起こすことが、本研究の19年度までの成果により明らかになった。しかしコレステロール含有の脂質粒子の濃度が特に高いとき、apoEの媒介なしで細胞障害の発生することが発見され、これについて調査する。 調査の結果、カイロミクロンやVLDLモデル、TO-PC/Cholエマルションは、高濃度において(生理的範囲)、apoE-independentに細胞に取り込まれ、リソソームにCholを過剰蓄積して細胞障害を引き起こすこと、その取り込みは、エマルションから細胞膜にCholが移り、その細胞膜Chol濃度上昇に起因すること、またシクロデキストリン誘導体を用いて細胞膜のChol含有を調整しても、エマルション取り込みが制御されることを明らかにした。 2. コレステロール逆転送系は、上記の危険因子の蓄積を軽減する防御機構であるが、その最初のステップであるapoA-I-細胞膜相互作用によるHDL形成について解明を行う。さらにHDLと細胞膜間のコレステロールなどの脂質の移動を生物物理化学的に調査する。 apoA-I-細胞膜相互作用は相互誘導適応型であり、膜表面のヘテロな脂質分布あるいは溶液中のapoA-IのpHdependentな高次構造調整により速やかにdisk様HDLが生成することを明らかにした。また、リン脂質やCholはナノ粒子であるHDL中ではそのポテンシャルが上昇し、HDL同士、HDL-生体膜間の移動が促進されることが明らかになった 3. 以上より脂質危険因子の細胞障害性とHDLによるその防御について総合的に検討する。 これらの成果により、脂質分布のホメオスタシスに関わる生物物理学的因子を公表した。
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