2005 Fiscal Year Annual Research Report
FLIPによるユビキチン・プロテアソームシステムの制御
Project/Area Number |
17390017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内藤 幹彦 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (00198011)
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Keywords | FLIP / ユビキチン / プロテアソーム / Wnt / HIF |
Research Abstract |
FLIPはCaspase8とよく似た構造を持つがCaspase活性を持たないため、Caspase8と競合することによりアポトーシスを阻害する。FLIPはb-cateninのユビキチン化を阻害することによりWntシグナルを増強する事を昨年度報告した。今年度はFLIPによるb-cateninのユビキチン化阻害機構を解析した結果、FLIPはb-cateninだけでなく様々な細胞内タンパク質のユビキチン化を阻害することを見出した。FLIPを共発現した細胞ではHIF-1、XIAP等ユビキチン・プロテアソームシステムにより分解されるタンパク質の蓄積量が増加し、HIF-1のシグナルも増強した。GFPにユビキチン化シグナルを融合したGFP-degronは細胞内で速やかにユビキチン化されプロテアソームにより分解されたが、FLIPを発現するとGFP-degronの蓄積量が増加した。FLIPを発現した細胞内ではFLIPが凝集体を形成し、ユビキチンがこの凝集体に濃縮され細胞質でのユビキチン量が減少していた。FLIPを発現しユビキチン化活性が低下した細胞にユビキチンを多量に発現させると、細胞内でのGFP-degronの蓄積が低下した。これらの結果から、FLIPによるユビキチン化阻害機構は、少なくとも一部はFLIPによる細胞質ユビキチンの減少によるものであることが示唆された。FLIPを多量に発現している肺がん細胞ではFLIPが凝集体を形成していた。この細胞でsiRNAによりFLIPの発現量を低下させると、Wntシグナル、HIF-1シグナルいずれも低下した。これらの結果からFLIPを多量に発現したがん細胞ではタンパク質ユビキチン化反応が制御され、Wntシグナル、HIF-1シグナルが増強し、細胞の悪性化に関与している可能性が考えられた。
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Research Products
(4 results)