2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17390031
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
早川 洋一 東京理科大学, 薬学部, 教授 (20208606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 崇 東京理科大学, 薬学部, 助手 (00408733)
新家 一男 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (20251481)
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Keywords | 分子シャペロン / GRP78 / 小胞体ストレス / アデノウイルス / がん遺伝子 / アポトーシス / チオアミド |
Research Abstract |
固形がん内部の環境は、正常組織と比較してグルコースと酸素が欠乏している。固形がん細胞は分子シャペロンGRP78を高発現することにより、このようなストレス環境下での生存を可能にしている。そこで、グルコース飢餓環境下におけるGRP78の発現を抑制する物質を探索した結果、Penicillium sp.よりdeoxyverrucosidin、Streptomyces violaceonigerよりprunustatinを見いだし、いずれも新規化合物であることを明らかにした。Deoxyverrucosidinおよびprunustatinは、それぞれIC_<50>値30nMおよび1.9nMで、2-deoxyglucose(2-DG)による小胞体ストレスに伴うGRP78プロモーターの活性化を阻害した。また、prunustatinと2-DGは、それぞれ単独では細胞毒性を示さなかったが、併用することにより著しい細胞死が観察された。 アデノウイルスは2種のがん遺伝子を有し、E1AがRBタンパク質を不活性化してアポトーシス感受性を増大させるのに対し、E1Bがアポトーシスを抑制することにより効率的に動物細胞を形質転換する。そこで、アデノウイルス形質転換細胞に対して選択的アポトーシスを誘導する物質を探索した結果、Streptomyces olivoviridisから目的の活性を有するthioviridamideを単離し、多数のチオアミド結合を有する極めてユニークなペプチド化合物であることを明らかにした。各種がん遺伝子で形質転換したラット3Y1線維芽細胞に対する作用を調べたところ、thioviridamideはアデノウイルスE1A遺伝子を有する細胞に対して選択的にアポトーシスを誘導し、特に12型アデノウイルスで形質転換したAd12-3Y1細胞に対して高い活性を示した(IC_<50>3.9ng/ml)。
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