2005 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病個別化治療推進を目的とする薬効ゲノム情報に基づく科学的基盤の構築
Project/Area Number |
17390042
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東 純一 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (30144463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤尾 慈 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (20359839)
木下 利彦 関西医科大学, 医学部, 教授 (20186290)
加藤 正樹 関西医科大学, 医学部, 助手 (00351510)
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Keywords | 薬剤反応性 / SSRI / SNRI / CYP2D6 / フルボキサミン / セロトニントランスポータ / セロトニン受容体 |
Research Abstract |
本研究は、抗うつ薬SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)とSNRI(Selective Serotonin & Norepinephrine Reuptake Inhibitor)の薬効の個体差に注目し、遺伝的背景からこの個体差の解明を試みるものである。一昨年より継続的に実施しているSSRIの2剤(Fluvoxamine;Flv/Paroxetine;Paro)比較試験において、薬効差を生じる背景として薬物動態学的因子と薬力学的因子を取り上げ、これらの遺伝子多型の影響を検討した。Flv血中濃度がCYP2D6遺伝子多型により影響を受けることを見出した。すなわち、活性低下を示すCYP2D6^*10及びCYP2D6^*5のアレル保有者ではFlv血中濃度が高値であった。また、喫煙者では同一遺伝子型群内で低い血中濃度を示していた。これは、喫煙によりCYP1A2が誘導を受けたためにFlvの代謝が亢進したものと考えられる。また、セロトニントランスポーターに存在するLPR多型(Long型・short型)が薬剤反応性に関わっていることを見出した。すなわち、LPRのL保有者の方が有意に薬剤に反応しやすかった。さらに、セロトニン1A、2A受容体の多型も薬剤反応性や副作用の発現頻度に影響する可能性が示唆された。セロトニン合成に関わるトリプトファンヒドロキシラーゼ(TPH)については、最近新たに同定された脳特異的なサブタイプTPH2を取り上げた。論文や遺伝子データベースからTPH2上のSNPsを抽出・解析し、薬剤反応性群と非反応性群の間に有意な差を示すSNPを同定した。そこで、分子生物学的な手法を用い、本SNPの機能解析を進めている。 一方、SNRIのMilnacipramを対象薬剤に加え、Paroとの比較試験においては、症例集積に努めた。
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Research Products
(4 results)