2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いた生理活性脂質S1P・Edg受容体システムの統合的研究
Project/Area Number |
17390054
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
多久和 陽 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60171592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 直俊 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (80272954)
吉岡 和晃 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (80333368)
多久和 典子 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (70150290)
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Keywords | スフィンゴシン-1-リン酸 / Edg / 細胞運動 / Rac / Rho |
Research Abstract |
スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)/Edg受容体システムの心血管における生理機能および心血管系および腫瘍における病態生理的役割を様々な遺伝子改変マウスを用いて解析した。Edg5ノックアウト(Edg5-KO)マウスでは野生型マウスと比較して血圧の低下を認めるが、ACTH負荷による血圧上昇反応には両マウスの間で差異がなく、アルギニン負荷に対する血圧低下も同程度であった。粥状動脈硬化におけるS1P/Edgシステムの役割を、ApoE-/-マウスとS1P合成酵素SphK1トランスジェニック(SphK1-Tg)マウス及びEdg5-KOマウスとの交配により、二重遺伝子改変マウスを作成して検討した。野生型マウスに比較して、SphK1-Tgでは大動脈における粥状動脈硬化面積の増加傾向が見られた。Edg5-KOマウスについては、解析中である。腫瘍血管形成におけるS1P/Edgシステムの役割を、B16メラノーマ細胞及びルイス肺癌細胞をマウス皮下に同種移植して検討した。S1P分解酵素S1Pリアーゼ(SPL)トランスジェニック(SPL-Tg)マウスでは、腫瘍新生血管数の減少と血管周囲への平滑筋細胞動員の低下が観察された。マウス後肢虚血モデルにおけるS1Pの血管新生促進作用を検討した。ポリラクトン・グルコン酸(PLGA)を用いて、S1P徐放製剤を合成した。これを野生型マウスの虚血後肢筋肉局所へ投与すると、S1P溶液の連日投与と同様に虚血後肢の血流回復が促進した。これとともに、抗CD31染色により、筋毛細血管数の増加を認めた。
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