2005 Fiscal Year Annual Research Report
抑制性伝達物質の発達期スイッチングの制御機構の解明
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17390058
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
鍋倉 淳一 生理学研究所, 発達生理学研究系, 教授 (50237583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前島 隆司 生理学研究所, 発達生理学研究系, 助手 (70399319)
渡部 美穂 生理学研究所, 発達生理学研究系, 特別協力研究員 (10399321)
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Keywords | GABA / グリシン / GABAB受容体 / 発達 / スイッチング / 聴覚 / 神経終末 / 抑制系 |
Research Abstract |
申請者はLSOへの抑制性(GABA/グリシン)シナプスの発達再編成において、未熟LSOへの主な入力がGABA作動性であり生後2週間でグリシン作動性へスイッチすることを見い出した。そのメカニズムが、興奮性回路での一般的に起こる余剰神経終末の除去(synapse elimination)とは異なり、同一終末内の伝達物質がGABAからGABA+グリシンのco-releaseの時期を経てグリシンへ単一終末内でスイッチすることを報告した。未熟期における主要伝達物質GABAが、なぜ同様にCl-チャネル(GABA-A受容体とグリシン受容体)を活性化するグリシンへスイッチするのか、その意義についてGABAとグリシンの作用の相違をもとに考察するためGABAのみに存在する代謝型受容体(GABA-B受容体)の発達変化による伝達物質GABA-グリシン発達期スイッチへの関連について検討した。LSOへ入力するGABA/グリシン入力終末には生後幼若期にはGABAB受容体が機能的に存在し、GABA/グリシン入力を抑制している。発達に伴いこのGABAB受容体による抑制は次第に減弱し、生後3周目にはGABAB受容体による抑制は消失した。LSOへの抑制性入力の起始核である内側台形体核におけるGABAB受容体の発現変化を調べるために,GABAB受容体mRNAの変化をin situ hybridyzationにて調べた結果、生直後には強く発現しているが発達とともに減弱することが判明した。これらの結果から、伝達物質の発達スイッチングに関連する機能的意義の一つとして、入力する終末のGABAB受容体を介する抑制の発達減弱が挙げられる。平成18年度はGABAB受容体ノックアウト動物を用いた解析を行なう予定である。
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Research Products
(3 results)