2006 Fiscal Year Annual Research Report
中枢時計と末梢時計:生理機能の時間的統合メカニズム
Project/Area Number |
17390059
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本間 さと 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (20142713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 哲夫 日本大学, 歯学部, 教授 (00187527)
池田 真行 富山大学, 理学部, 助教授 (10288053)
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Keywords | 生理学 / 神経科学 / シグナル伝達 / 生物時計 / 生物発光 |
Research Abstract |
本研究は、視床下部視交叉上核(SCN)のサーカディアン振動体が各臓器組織に存在する末梢時計のリズムをいかに同調して、全身の生理機能に時間的秩序を成立させ、環境の周期的変化を予知して生体の生存をはかる中枢時計として機能するかを検討することを目的に行われた。本年度は、以下の2つの実験を行った。 1)中枢時計の多振動体構築:時計遺伝子Per1発現のホタルルシフェラーゼによるレポーターマウス(Per1-luc)を明期12時間暗期12時間(LD12:12)の照明条件下からLD18:6の長日、あるいはLD6:18の短日下におき、行動リズムを測定した。その後、前後2枚のSCN冠状断スライスを培養し、Per1-lucリズムを連続5日間測定した。その結果、尾側SCNのPer1ピークが常に同一個体の吻側ピークよりも前進し、その間隔が日長に依存して延長することが分かった。さらに、長日の吻側SCNのみで二峰性リズムが観察され、CCDカメラによる発光画像の連続撮像により、この二峰性が異なる位相の2細胞群から構成されていることが明らかとなった。本研究の結果、40年前より想定されてきた、朝日と夕日に同調するEとMの二振動体の局在が明らかとなり、さらに、光をコードする第三の振動体の存在も分かった。 2)末梢時計のリズム位相と同調:末梢各臓器において、明瞭なサーカディアン変動を示すBmal1発現のレポーターマウスを用い、各末梢臓器を培養してBmal1発現リズムを測定した。その結果、位相だけでなく、周期にも臓器特異性があることを示した。さらに、肝臓のBmal1発現リズムを指標に、培地交換によるリズム変位を測定し、発光リズムが見かけ上消失していても背後の振動は持続していること、Bmal1ピーク位相付近での培地交換で大きな位相変位を生じるが、0型位相変位ではないことを明らかとした。この結果、末梢時計が中枢並みの安定したリズム発振と細胞間同期を示すことを明らかとなった。
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Research Products
(16 results)
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[Book] 環境生理学2007
Author(s)
本間さと
Total Pages
446
Publisher
北海道大学出版会
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より
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