2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規ペプチドによる中枢性ナトリウム/浸透圧恒常性維持機構の修飾-統合的研究-
Project/Area Number |
17390061
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
河南 洋 宮崎大学, 医学部, 教授 (00049058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國武 孝人 宮崎大学, 医学部, 助手 (20234461)
石塚 雄太 宮崎大学, 医学部, 講師 (20264377)
白阪 哲朗 宮崎大学, 医学部, 講師 (00274788)
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Keywords | ニューロペプチドW / オレキシン / 心血管系 / 視床下部室傍核 / ラット / 単一神経活動 / 自由行動・意識下 |
Research Abstract |
・ニューロペプチドW(NPW)の中枢作用について。NPWは豚脳から見つけられた新規ペプチドで、オーファンGPCRのリガンドである。これまで神経内分泌作用、エネルギー代謝調節、ストレス反応との関わりは報告されているが、心血管系に対する作用は未だ明らかでない。そこで本研究では心血管系に対する中枢性NPWの作用について調べた。 自由行動・意識下ラットの側脳室へNPW(3.0 nmol)を投与すると、血圧・心拍数増加が見られ、さらに血液中のカテコールアミン(ノルアドレナリン・アドレナリン)増加が認められた。一方、少量(0.3 nmol)投与では有意な変化が認められなかった。 NPW含有神経細胞並びにNPW受容体は脳内広範囲に認められるが、中でも視床下部室傍核(PVN)に密に認められる。PVNは自律神経系と神経内分泌系の高位統合部位であり、色々なストレス反応発現に関わっている。 PVN単一ニューロン活動を自由行動・意識下ラットから記録し、其の活動に対する側脳室投与NPWの効果を調べた。自発性発火活動パターンから2つのタイプが区分された:不規則発火パターンと間欠型発火パターン。今回は前者タイプのニューロン(35個)について調べた。NPW(3nmol)投与により、興奮反応と抑制反応がそれぞれ22ニューロン、7ニューロンにおいて認められた。残り6ニューロンでは変化が認められなかった。これら反応したニューロンの多くはまた薬物投与による血圧変動、また食欲抑制ペプチドであるコレシストキニンの静脈内投与に反応した。 これらの結果より脳内NPWは心血管系のみならずエネルギー代謝調節にも、少なくとも一部、視床下部室傍核・自律神経系を介して関わっていることが示唆された。 ・オレキシンのPVNニューロンに対する作用-自由行動・意識下ラットにおいての解析。脳室内投与オレキシンにより血圧・心拍数は増加し、また血中カテコラミン濃度が増加すること、また脳スライス標本において視床下部室傍核(PVN)ニューロンはオレキシンにより脱分極し、活動電位数の増加が報告されている。本研究ではより"生理的"条件下において、オレキシンの脳内作用機序の解明を目指し、自由行動・意識下ラットのPVNニューロン活動に対するオレキシンの作用を調べた。自発性発火活動パターンから2つのタイプが区分された:不規則発火パターンと間欠型発火パターン。今回は前者タイプのニューロン(22個)について調べた。オレキシン(0.3nmol)投与により、興奮反応と抑制反応がそれぞれ12ニューロン、2ニューロンにおいて認められた。残り8ニューロンでは変化が認められなかった。従って、オレキシンの心血管系に対する作用は、少なくとも一部、視床下部室傍核・自律神経系を介することが示唆された。
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Research Products
(4 results)