2006 Fiscal Year Annual Research Report
同一遺伝子から形成される異なった受容体多型の同定およびファルマコーム解析
Project/Area Number |
17390064
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
村松 郁延 福井大学, 医学部, 教授 (10111965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森島 繁 福井大学, 医学部, 講師 (50290911)
鈴木 史子 福井大学, 医学部, 助手 (80291376)
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Keywords | 受容体多型 / α1Lアドレナリン受容体 / α1Aアドレナリン受容体 / ノックアウトマウス / 前立腺 |
Research Abstract |
同一遺伝子から異なった受容体多型が形成される例として、未だその遺伝子が同定されていないputative α1L,アドレナリン受容体に着目し、以下の実験を行いました。 1.α1Lアドレナリン受容体は、prazosinなどに低親和性を示すα1アドレナリン受容体として、前立腺や輸精管などの収縮に関与しています。しかし、結合実験では、今まで検出されてきていません。私たちは、何故α1Lアドレナリン受容体は結合実験で検出されないのか、検討を重ねました。その結果、その原因は結合実験法にあるのではと考えるようになりました。すなわち、組織をホモジナイズして行う従来の結合実験法では、受容体の構造が変化してしまうと考えました。そこで組織をホモジナイズせず、そのまま用いる組織片結合実験法を開発し、α1Lアドレナリン受容体の同定を試みました。その結果、^3H-silodosinを用いた結合実験でα1Lアドレナリン受容体を、ヒトやラットの前立腺、ラットとマウスの輸精管および大脳皮質などにおいて検出することに成功しました。しかし、それら組織をホモジナイズすると、α1Lアドレナリン受容体は消失し、その代わりα1Aアドレナリン受容体のみが検出されるようになりました。これらの結果より、α1Lアドレナリン受容体は、α1Aアドレナリン受容体に非常に類似していること、しかしその表現型はα1Aアドレナリン受容体とは異なること、更にその遺伝子は同一である可能性が考えられました。 2.α1Lアドレナリン受容体がα1Aアドレナリン受容体遺伝子由来であることを確認するため、α1Aアドレナリン受容体遺伝子をノックアウトしたマウスを用いてα1Lアドレナリン受容体の有無を検討しました。その結果、前立腺や輸精管のα1Lアドレナリン受容体はノックアウトしない正常マウスでは検出されましたが、α1Aアドレナリン受容体遺伝子をノックアウトしたマウスでは消失していることを明らかにしました。 以上の結果より、α1Lアドレナリン受容体はα1Aアドレナリン受容体遺伝子由来であることが強く示唆されました。今後は、他のα1サブタイプ遺伝子との関係、何故同一遺伝子から特性が異なる多型が形成されるのかなど、検討していく予定です。
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Research Products
(8 results)