2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜リン脂質の動的代謝による細胞応答誘導の分子機構
Project/Area Number |
17390065
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
齋藤 尚亮 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (60178499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 康仁 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助教授 (60263399)
上山 健彦 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (80346254)
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Keywords | ライブイメージング / 遺伝子操作動物 / GFP / プロテインキナーゼC / 脂質メッセンジャー / カスケード / 神経可塑性 / ファゴサイトーシス |
Research Abstract |
最近になって、脂質分子の細胞内での産生や動態を、特異的な脂質結合蛋白質あるいはそのドメインを用いて解析することが可能となり、細胞機能調節における脂質メッセンジャーの機能解明の糸口が開かれてきた。本研究では、脂質シグナリングが「いつ」「どこで」行われるかを解析することにより、脂質メッセンジャーの産生、移動、それによる情報伝達を秒単位で解析した。本年度は、1)ライブイメージングを用いて神経およびドン食細胞における脂質メッセンジャーシグナリングの時間的・空間的解析を行い、情報伝達因子(PKCおよびRac)の特定の分子種がドン食時に、食胞膜にトランスロケーションし、活性酸素の産生などに関与することを示し、その動態を制御するメカニズムについて分子レベルで解明した。さらに、神経において、PKCなど情報伝達因子の時空間解析を行うためには、神経ネットワークの完成された個体レベルでのイメージングが必要であると考え、テトラサイクリン制御システムを用いて、NSE(neuron specific enolase)あるいはCaMKII(calcium-calmodulin dependent kinase II)プロモーターの制御により脳内発現部位を決定し、さらに、テトラサイクリンの投与により発現時期をも調節しうる、各GFP-PKC発現遺伝子操作動物を作製した。プロモーターの違いにより、発現する神経細胞は明らかに異なっており、特定の時期における、特定の神経細胞での、特定の情報伝達因子の動態の観察が可能となった。これらの動物の脳スライスを用いて、生理的条件下での神経シナプスを介した神経刺激によるPKCの神経細胞内動態を検討したところ、シナプスを介して誘導された生理的なPKCトランスロケーションは明らかに薬物刺激によるPKCトランスロケーションと異なっていることを示した。また、これらの脳部位特異的・時期特異的PKC-GFP発現遺伝子操作動物を用いたマウスの行動学的検討を行い、特定の部位でのPKCの発現が神経機能にどのような影響を及ぼすかを解析した。以上のように情報伝達因子としての脂質メッセンジャーのカスケードの解析を行った。
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Research Products
(12 results)