2005 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-βファミリーシグナル系による血管内皮細胞活性化制御機構の解明
Project/Area Number |
17390073
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
伊東 進 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (70223154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 光保 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (20194855)
鈴木 裕之 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助手 (70375509)
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Keywords | 血管新生 / TGF-beta / Smad / 転写因子 / BMP / 胎盤 / Id1 / Herp2 |
Research Abstract |
血管内皮細胞は、HLHタンパク質であるId1またはHerp2により血管新生の指標となる細胞遊走能をそれぞれ促進または抑制することをすでに見出していた。そこで、酵母two hybrid法により、Id1またはHerp2に結合し、Id1またはHerp2の機能制御を行うタンパク質の単離を試みた。その結果、約20個の陽性コロニーを得た。それぞれの陽性コロニーからcDNAを同定さらには、全長をRT-PCR法により単離した。得られた約20個の遺伝子の全長を用いてCOS細胞でId1またはHerp2と結合する分子を選択したところ、E2-2、Id2、CGI-128、FHL2、FLJ12361がId1またはHerp2と結合することを認めた。そこで、まずE2-2に着目し、これまで私達が血管新生を制御している転写因子群として注目していたId1、Herp2、LMO2、SCL、E2Aに対する結合能の違いをCOS細胞で検討したところ、E2-2は、Id1、SCL及びE2Aとヘテロ複合体を形成すること、さらにE2-2自身ホモ二量体を形成することを明らかとした。また、E2-2によって活性化されるプロモーターを用いて、E2-2に対するId1とSCLの影響を調べてところ、Id1及びSCLは共に、E2-2で活性化されるプロモーター活性を抑制することを明らかにした。現在、E2-2の血管内皮細胞での機能を検討する目的で、アデノウイルスベクターにE2-2やそのパートナーの遺伝子を組み込み、及びウイルスの増幅を行っている。TGF-β I型常用体(ALK5)の点変異導入ノックインマウスの作製を試みた。このマウスは、TGF-β/ALK5/Smad2,3シグナル伝達系が全く伝達されず、TGF-β/ALK1/Smad1,5,8シグナル系のみが伝達されることにより、胎仔期での血管形成がALK5ノックアウトより改善されると期待された。得られた、ALK5ノックインマウスは、胎生10.5日頃に死んでしまうことがわかった。ALK5ノックインマウスの胎仔羊膜上に血管形成が全く起こっておらず、そのため血液が胎仔内に流れず、致死に至ると考えられた。この表現系は、ALK5ノックアウトマウスと類似していた。一方、胎盤におけるラビリンス形成において、ALK5ノックインマウスは、野生型マウスと同様に血管形成が行われていたが、ALK5ノックアウトマウスの胎盤では、ラビリンス形成異常が認められた。現在、この形成異常に関して、詳細な検討を行っている。
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