2005 Fiscal Year Annual Research Report
Ras/Rap標的蛋白質ホスホリパーゼCεの生体内機能の解明
Project/Area Number |
17390078
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
片岡 徹 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40144472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 孝哉 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20251655)
島 扶美 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60335445)
枝松 裕紀 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助手 (70335438)
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Keywords | ホスホリパーゼC / 低分子量G蛋白質 / Ras蛋白質 / イノシトール脂質代謝 / 炎症反応 / 心臓半月弁膜症 / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
1 ホスホリパーゼCε(PLCε)遺伝子ノックアウトマウスが、胎生期に心臓半月弁形成異常を発生する機構を解析した。上皮増殖因子(EGF)受容体の活性低下変異マウスやヘパリン結合性EGF(HB-EGF)欠損マウスの表現型との類似性から、PLCεがEGF受容体下流でRasの標的蛋白質として半月弁細胞の増殖抑制に関わると推測した。実際、半月弁細胞増殖を誘導する骨形成因子受容体下流のシグナル分子Smad1/5/8の燐酸化がノックアウトマウスでは亢進していた。Cre-loxP系を用いてPLCεを組織特異的に過剰発現するトランスジェニックマウスを作製した。PLCεの全組織発現は胎児致死性を示したので、その機構を解析すると共に、皮膚ケラチノサイト、神経細胞、心筋にて特異的に発現するマウスを作製している。 2 PLCεノックアウトマウスにて、ホルボールエステルTPA刺激により誘発される皮膚基底層細胞の増殖と上皮の肥厚が著明に抑制されるメカニズムを解析した。ノックアウトマウス皮膚ではTPA処理によって誘導されるケラチノサイトのEGF受容体のリン酸化の顕著な低下が認められ、これは同時に観察されるHB-EGFやケラチノサイト増殖因子-1の産生低下によると推測された。また、TPA誘導性のIL-1αやKC(Cxcl-1)等のサイトカインやシクロオキシゲナーゼ-2などの炎症反応に関わる因子の産生が低下し、顆粒球/好中球の浸潤も低下していた。上記結果から、PLCεがTPA下流で炎症反応を引き起こすことにより、ケラチノサイトの増殖、ひいては発癌プロモーション、に関与することが示唆された。 3 脳スライスを用いた電気生理学的実験により、PLCεノックアウトマウスでは、海馬CA1領域の長期増強(LTP)の低下が観察されたので、検証実験を行なっている(東京大学真鍋俊也博士との共同研究)。
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Research Products
(4 results)