2006 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-βのシグナルを抑制するHtrAセリンプロテアーゼファミリーの研究
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17390079
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
川市 正史 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (00195041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 千緒 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (30263445)
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Keywords | HtrAセリンプロテアーゼ / 関節炎 / 加齢黄斑変性症 / bFGF / 遺伝子破壊マウス / 軟骨分化 / 骨芽細胞分化 / 細胞外基質 |
Research Abstract |
(1)HtrA1の発現調節機構:HtrA1は、マウスでは胎児期の骨周辺の間葉系細胞、目の毛様体、脳脈絡叢、心筋内膜床などに特異的に発現する。またニワトリの初期胚では鰓弓の一部にも特徴的な発現を示す。この特異的発現の機構を解析するため、ニワトリ胎児の繊維芽細胞を種々の増殖因子で刺激したところbFGFがHtrA1の発現を誘導することが明らかになった。bFGFを付着させたビーズをニワトリ胚の鰓弓周囲に移植するとHtrA1の発現領域が拡大した。これまで不明であった、HtrA1の発現調節機構のひとつが解明された。 (2)HtrA1と網膜黄斑変性症:欧米では中高齢者の失明原因の第1位であり、わが国でも急速に頻度が上昇している加齢黄斑変性症の発症とHtrA1のプロモーター領域のSNPにきわめて強い連関があることが2006年に報告された。この変異によりHtrA1の発現が上昇することが予想されることから、われわれが作成した2種のHtrA1高発現TGマウスの網膜を組織学的に検討した。一部の高齢マウスで網膜下にドルーゼン様沈着が見られたが、さらに多数のマウスを使った解析を行う予定である。 (4)HtrA1ノックアウトマウスの解析:KOマウスは外見上の異常はないが、骨成長板の軟骨細胞の構築が乱れコラーゲン産生にも異常があった。そこで、KOマウスと正常マウスから未熟軟骨細胞及び骨芽細胞を分離し初代培養を行い、成熟軟骨と骨芽細胞への分化に及ぼすHtrA1の作用を検討したζころ、アルカリフォスファターゼで測定した分化度とアリザリンレッドによる骨化の進行がKOマウスの軟骨細胞では正常より遅れるという知見を得て、これをさらに検討中である。
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