2007 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質神経発達におけるCajal-Retzius細胞の機能的役割の分子的基盤
Project/Area Number |
17390086
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田辺 康人 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 准教授 (10311309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 富士夫 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (20089882)
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Keywords | 大脳皮質 / 皮質投射ニューロン / 神経細胞 / 細胞移動 / 分化 |
Research Abstract |
発生期の大脳皮質において、新皮質辺縁帯に存在するCajal-Retzius細胞は脳室帯から発生してくる皮質投射ニューロンの法線方向への細胞移動、細胞体配置に重要な働きを示すことが過去の研究から明らかとされていた。この皮質投射ニューロンの発生・発達過程は、皮質前駆細胞から皮質神経細胞への運命決定、細胞移動、神経細胞分化などの一見不可逆的な個々の発達素過程が確立され推移していくことによって支えられていると捉えることができる。我々は、脳室帯を構成する皮質前駆細胞、細胞移動中の皮質投射ニューロンに発現する転写因子としてMeis2を同定した。我々はマウス大脳皮質を対象としてin vivo電気穿孔法を用いてMeis2遺伝子を導入し、Meis2の皮質構築における機能的役割を解析した。Meis2は、皮質発生過程において脳室帯の神経前駆細胞、法線方向へ細胞移動中の皮質細胞、そして皮質板神経細胞の一部に発現される。恒常的転写抑制型Meis2(EnR-Meis2)を強制発現(胎生12.5日)した解析系により(A)神経前駆細胞において神経細胞への分化が阻害され、神経前駆細胞がアストロサイトもしくは幹細胞様の細胞形質を獲得するようになること、(B)BrdUを用いた実験により、神経前駆細胞において細胞分裂から細胞分化への変換が促進される(最終細胞分裂を終えた細胞の割合が増える)こと、(C)脳室帯から皮質板への細胞移動過程において示される多極性から双極性への形態変化が阻害され、中間下層において多極性形態を保ったまま蓄積し、その結果、法線方向への細胞移動が阻害されることを示した。これらの結果は、Meis2が幾つかの皮質構築発達素過程において重要な働きを示すことを示唆する。
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Research Products
(1 results)