2006 Fiscal Year Annual Research Report
ホメオボックス転写因子CDX2及びCDX1の消化管腫瘍への関与とその分子的機序
Project/Area Number |
17390113
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 正博 京都大学, 医学研究科, 講師 (60362464)
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Keywords | 癌 / 転写因子 / ホメオボックス / シグナル伝達 / 消化管 / 標的遺伝子 / クロマチン免疫沈降 / 転写調節 |
Research Abstract |
本研究計画は、消化管特異的に発現するホメオボックス転写因子CDX2及びCDX1の消化管腫瘍における役割を解明し、新たな治療法開発の手がかりを見つけることを目的とする。 前年度に、クロマチン免疫沈降(ChlP)法を用いたスクリーニングにより、CDX2及びCDX1の標的遺伝子候補を複数同定した。その中でも大腸癌の癌抑制遺伝子候補とされ、酪酸(butyrate)などの短鎖脂肪酸のトランスポーターをコードするSLC5A8(solute carrier family 5,member 8)については、ChlPスクリーニングで得られた断片にそのプロモーター領域が含まれていた。今年度は、SLC5A8プロモーター中のCDX結合コンセンサス配列を欠失あるいは変異させるとレポーターアッセイにおけるCDX依存性の転写活性化が阻害されること、CDX1あるいはCDX2を強制発現させた大腸癌細胞株においてSLC5A8の発現が誘導されること、SLC5A8が強い細胞増殖抑制能をもつことを見出した。また、ChlPスクリーニングにより同定していた他の標的遺伝子候補のうち、Dblファミリーに属するタンパクをコードする新規遺伝子について、CDX2の強制発現によりその発現が誘導されること、Caco2大腸癌細胞株の分化を誘導すると内在性CDX2の発現に続いてこの遺伝子の発現が誘導されることを見出した。一方、CDX2及びCDX1のホメオドメイン内に存在し、Drosophilaのcaudalに至るまでCDXファミリーのホメオドメインに種の壁を越えて保存されているスレオニン残基が、PKCζによってリン酸化されることを見出した。今後、これらの標的遺伝子の機能とCDXの癌抑制遺伝子的作用における役割について解析を進めるとともに、CDXホメオドメインリン酸化の生理的意義について検討する。
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Research Products
(2 results)