2007 Fiscal Year Annual Research Report
トリパノソーマの細胞内寄生・増殖・病原性の分子基盤
Project/Area Number |
17390123
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
青木 孝 Juntendo University, 医学部, 教授 (20053283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奈良 武司 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40276473)
橋本 宗明 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30407308)
案浦 健 順天堂大学, 医学部, 助教 (90407239)
坪内 暁子 順天堂大学, 医学部, 助教 (10398662)
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Keywords | ACT-DHOD融合遺伝子 / 翻訳後プロセッシング / ピリミジン合成遺伝子 / 遺伝子の起原と分子進化 / マイクロアレイ / トランスクリプトーム / 増殖抑制遺伝子のuregulation / 増殖促進遺伝子のdownregulation |
Research Abstract |
我々ははじめて、キネトプラスチダBodo saliensにおいてピリミジン生合成第2酵素ACTと第4酵素DHODは融合遺伝子ACT-DHODによってコードされていることを報告した。今回、全長1947 bpからなる同遺伝子は、約2.6kbの単一transcriptへと転写され、その後648アミノ酸残基(田69,107)からなる単一翻訳産物はプロセッシングされ、独立したACTおよびDHOD(ともに35kDa)となることが分かった。このような特異な翻訳後プロセッシングは本研究が最初の報告である。またトリパノソーマの祖先型生物diplonemidsの第4、第5、第6酵素遺伝子の解析をおこない、特異なピリミジン生合成第4遺伝子および第6一第5融合遺伝子の起原および分子進化について重要な結果を得た。 さらに約47,000のヒトプローブを含むマイクロアレイを用い、感染細胞HeLaのトランスクリプトーム解析(網羅的遺伝子発現解析)をおこなった。非感染細胞と比較し感染細胞において3倍以上upregulateされた遺伝子41個、downregulateされた遺伝子23個を認めた(p<005,n=3)。これら64個の遺伝子にはIL6、IL8などのサイトカインや細胞増殖に関わる遺伝子の割合が高かった。興味深いことに感染細胞では、増殖抑制遺伝子7個はすべてupregulateされ、増殖促進遺伝子3個はすべてdownregulateされていた。その結果としてT.cruzi感染細胞の増殖速度は著しく低下する可能性が高く、原虫の持続感染が保障されるメカニズムの一端が明らかとなった。このような持続感染およびその後の原虫増殖は病原性へとつながると考えられるので、本研究結果は細胞内寄生トリパノソーマの病原性の分子基盤としてきわめて重要である。
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Research Products
(5 results)