2006 Fiscal Year Annual Research Report
DNAマイクロアレイを用いた赤痢アメーバ病原機構の網羅的解明
Project/Area Number |
17390124
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
野崎 智義 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60198588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 由美子 国立感染症研究所, 寄生動物部, 主任研究官 (30321764)
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Keywords | 赤痢アメーバ / 病原機構 / システインプロテアーゼ / トランスクリプトーム / 小胞輸送 / 感染症 / 腸管寄生虫 |
Research Abstract |
病原性の異なる分離株間での発現プロファイル解析を継続して行った。その結果、200を超える遺伝子が病原性の変化に応じて、発現量を変化させていることが明らかになった。病原性に相関して発現が変化している遺伝子は30あまり、逆相関している遺伝子は約170であった。分離株の数を増やして発現プロファイル解析データを蓄積している。更に、これまでの研究によって病原性との相関が明解に示されている病原性因子システインプロテアーゼ(CP)の細胞内輸送、分泌にを調節する内在性タンパク質の機能に関して詳細な研究を行った。これは赤痢アメーバの内在性のタンパク質で、CPの阻害活性をもち、Inhibitor of cysteine protease(ICP)と命名された。ICPは赤痢アメーバ内で2種類のアイソタイプとして存在し、ICP2はシグナルペプチドをもち、ICP1はもたなかった。その一次配列から予測されるようにICP1は細胞質に、ICP2はリソソーム・ファゴソームに局在した。ICP1及びICP2の組換えタンパク質はCP1,CP2,CP5などの赤痢アメーバ内の主要なCPをいずれも阻害する能力を有していた。特異抗体を用いた免疫沈降によって赤痢アメーバ内での結合が直接証明された。CPとICPの細胞内での分子数の比は約1000対1であった。更に、ICP1,ICP2を過剰発現した形質転換体を作製し、細胞内及び分泌されるCPの活性を調べたところ、いずれも60-90%減少していた。以上の結果、ICPは細胞内の複数のコンパートメントでCPに結合し、細胞内にとどめるとともに、不活化あるいは分解するコンパートメントに導くことにより細胞内及び分泌されるCPの量と活性を調節していることが明らかにされた。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Two cysteine protease inhibitors, EhlCP1 and 2, localized in distinct compartments, negatively regulate secretion in Entamoeba histolytica.2006
Author(s)
Sato, D., Nakada-Tsukui, K., Okada, M., Nozaki,T.
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Journal Title
FEBS Lett. 580
Pages: 5306-5312
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[Journal Article] Impact of intestinal colonization and invasion on the Entamoeba histolytica transcriptome.2006
Author(s)
Gilchrist, C.A., Houpt, E., Trapaidze, N., Fei, Z., Crasta, O., Asgharpour, A., Evans, C., Martino-Catt, A., Baba, D.J., Stroup, S., Hamano, S., Ehrenkaufer, G., Okada, M., Singh, U., Nozaki, T., Mann, B.J., Petri,Jr., W.
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Journal Title
Mol. Biochem. Parasitol. 147
Pages: 163-176