2006 Fiscal Year Annual Research Report
Toll-like receptorによるMAPK活性化機構と細菌感染症での役割
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17390128
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉開 泰信 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (90158402)
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Keywords | MAPキナーゼ / TH1 / TH2 / JNK特異的脱リン酸化酵素 / リステリア / 細菌感染 / サイトカイン / Tgマウス |
Research Abstract |
T細胞における細菌由来のリガンドを認識するToll-like receptor(TLR)およびT細胞レセプター(TCR)からのMAPキナーゼの活性経路とその制御機構を解析し、生体防御機構におけるMAPキナーゼの役割をin vivoで明らかする。MAPキナーゼはその活性化ループのスレオニンとチロシンのリン酸化によって活性化されるが、MAPキナーゼ活性は多くの場合継続刺激下においても可逆的である。これを司るのが、スレオニンとチロシン両者を脱リン酸化するDual specificity phosphatase(DUP)である。我々がクローニングしたDUP16は3種のMAPキナーゼのうち特異的にJNKの脱リン酸化をおこすことがわかった。昨年度はDUP16をT細胞特異的に発現したトランスジェニック(Tg)マウスを作製し、解析した。本年度はDUP16のシステインをセリン置き換えたdominant negative (DN)DUP16をT細胞特異的発現したTgマウスを作製した。DNDUP16 TGマウス胸腺細胞、リンパ組織(脾臓、リンパ節、バイエル板、腸管上皮間リンパ球)、非リンパ組織(肝臓、粘膜固有層)でのT細胞の分化に変化は認めらなかった。 DNDUP 16TgマウスのナイーブT細胞を用いて抗CD3/CD28抗体で刺激してJNKの活性化をc-JUNのリン酸化で検討したところ、DNDUP16TgマウスでJNK活性の遷延化が認められた。さらにIL-2よびIL-4のサイトカインの産生が増強していた。このTgマウスにListeria monocytogenesを感染させて、臓器内菌数を調べたところ、DNTgマウスで菌数の有意な増加を認めた。さらにリステリア死菌抗原およびLLO特異的CD4Th1細胞の産生を細胞内サイトカイン染色およびELISA法によってTh1機能分化を調べたところ、TgマウスでTh1細胞応答の低下を認めた。これらの結果よりT細胞に発現されている内因性DUP16は早期のJNK活性を制御することでTh1/Th2細の分化を調節していると考えられる。
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Research Products
(14 results)