2006 Fiscal Year Annual Research Report
重粒子線照射のウイルス遺伝子、細胞遺伝子への影響の解析とそのウイルス研究への応用
Project/Area Number |
17390133
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
星野 洪郎 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00107434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 宣明 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (70261831)
大上 厚志 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (80260107)
田中 淳 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助手 (20321953)
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Keywords | 重粒子線 / ウイルス / 遺伝子 / 変異 / 感受性 |
Research Abstract |
ヒトグリオーマ由来NP-2細胞にCD4とCCR5を発現させたNP-2/CD4/CCR5細胞、およびNP-2/CD4/CCR5細胞にHIV-1のLTRで発現制御されるGFP遺伝子を導入したNP-2/CD4/CCR5/LTR-GFP細胞に異なる線量の重粒子線を照射し、HIV-1を暴露した。重粒子線で照射した細胞では、逆転写されたenv遺伝子領域DNAの量が増加した。比較的高い線量での照射ではそのような増加は見られなかった。細胞へのHIV-1結合量には違いは見られなかった。これらの結果は、比較的低い線量の重粒子線照射によって、細胞のHIV-1粒子取り込みあるいは逆転写の効率が上昇する可能性を示唆する。 重粒子線照射した細胞では、CD133(Prominin-1)をコードするmRNAの発現の増加が見られた。また、NF-kBの発現も比較的低い線量で若干増加が見られた。一方、histon deacetylase(HDAC)、Ku-80、poly-ADP ribose polymeraseなどの発現は低下した。これらの因子の発現の変化と細胞のHIV-1感受性の変化との関連はまだ明らかでない。 特異的阻害剤を用いた解析では、G2/Mアレスト、アポトーシス誘導、酸化ストレス、ならびにHDACやN型糖鎖合成の阻害は、NP-2/CD4/CCR5/LTR-GFP細胞のHIV-1感受性上昇を誘起しなかった。重粒子線照射によっても細胞に生じることが予想されるこれらの現象は、重粒子線照射によるHIV-1感受性上昇に関与しないことが示唆された。一方、5-azacytidine、neuraminidase、あるいはWortmannin処理によって、細胞のHIV-1感受性が上昇した。重粒子線照した細胞のHIV-1の転写の上昇には、細胞の脱メチル化、PI3キナーゼ阻害、あるいは細胞膜因子の糖鎖修飾変化などが関与する可能性が示唆された。 今後は、より多くの細胞因子について、網羅的にその発現の変化や阻害剤の効果を解析することによって、重粒子線照射によるHIV-1感染感受性上昇のメカニズムを解明し、HIV-1感染にかかわる新しい分子メカニズムの発見につなげたい
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Research Products
(3 results)