2005 Fiscal Year Annual Research Report
免疫担当細胞の産生・維持制御シグナルと免疫系の再生及び機能制御
Project/Area Number |
17390141
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 智 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (10242116)
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Keywords | 免疫学 / 再生医学 / シグナル伝達 / 移植・再生医療 / 感染症 / アダプター蛋白質 / 骨髄移植 / リンパ球 |
Research Abstract |
リンパ球前駆細胞や造血幹細胞の過剰な増幅がみられるユニークなLnkファミリーアダプター蛋白質群の遺伝子改変マウスを用いて、造血幹細胞、リンパ球前駆細胞の産生・維持の制御シグナルを解析し免疫系再生や機能制御法開発に向けた基盤確立を試みた。 Lnkファミリー蛋白質の作用機構の解明:APS及びSH2-Bが、増殖シグナル制御とともに細胞骨格系制御に関与する知見が報告されている。巨核球系細胞を調べた結果、Lnk欠損によりc-Mp1依存性反応の亢進とともに重合アクチン量の低下がみられた。Lnk欠損B細胞では種々のケモカインに対する遊走能が上昇しており、fibronectinやVCAMへの接着が亢進していた。造血前駆細胞では遊走能に変化はみられなかったものの、全骨髄有核細胞と混合した場合の遊走がLnk欠損群で低下しており、VCAMへの接着が亢進していた。野生型及びLnk欠損B細胞を異なる色素で標識後同数を混合して移入しin vivoでのホーミングを比較したところ、Lnk欠損細胞は骨髄及び脾臓へ早く分布することがわかった。Lnk依存性制御系の障害により細胞外基質との相互作用に影響が生じると考えられた。 免疫系再生制御の基礎技術開発:種々のLnk変異体を作製した結果、増殖抑制にはSH2ドメインが必須であり、SH2変異に加えてPHドメインならびにC末端領域の欠損を組み合わせると効率の良いドミナントネガティブ(DN)変異体として働くことがわかった。得られたDN-Lnk変異体をマウス造血前駆細胞にレトロウィルスベクターにより感染導入し放射線照射マウスへ移植したところ、骨髄再構築能の亢進が観察された。DN-Lnk変異体は一過性発現によっても造血前駆細胞の生着能を亢進させることから、移植後早期段階で生着に有利に作用すると考えられた。
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Research Products
(4 results)