2005 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチの免疫抑制薬療法:中枢・腎有害作用の分子機構解析と安全性対策の構築
Project/Area Number |
17390159
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
片岡 泰文 福岡大学, 薬学部, 教授 (70136513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 喬雄 福岡大学, 医学部, 教授 (10125552)
兼岡 秀俊 福岡大学, 医学部, 助教授 (20161169)
山内 淳史 福岡大学, 薬学部, 助手 (90341453)
首藤 英樹 福岡大学, 薬学部, 助手 (60412574)
丹羽 正美 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20136641)
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Keywords | 関節リウマチ / 免疫抑制薬 / 血液脳関門 / TGF-β / 後期糖化反応生成物 / ペリサイト / 中枢毒性 |
Research Abstract |
免疫抑制薬、cyclosporine A(CsA)およびtaclolimus(TCL)は移植医療のみならず、現在では、免疫異常が病態背景にある関節リウマチ等の疾患に試用・応用されている。これら薬物の治療上の問題点として腎、肝や中枢性有害作用の発現がある。CsA/TCLの脳移行は血液脳関門(BBB)により制限されている。申請者はすでにCsA/TCLがtransforming growth factor-β(TGF-β)産生を低下させBBB機能を破綻させることを見出した。またTGF-β遺伝子変異はTCLによる腎障害発現と有意に相関するとの知見を得ている。一方、関節リウマチの病態には、tumor necrosis factor-α(TNF-α)やS-100/calgranulis-RAGE(後期糖化反応生成物(AGE)受容体)が関与する。そこで本研究ではこれら3つの生理活性物質伝達系に焦点を当て、CsA/TCLの有害作用の易発症因子・増悪因子とそれを支配する遺伝子情報を明らかにし有害作用の評価・予測システムを構築することを目的とする。本年度の成果は以下のとおりである。 (1)脳血管内皮細胞を用いたin vitro BBBモデルにおいてAGEは透過性の亢進作用および薬物排出ポンプ(P-gp)機能低下作用を示した。この作用はRAGEを介した作用であることが判った。 (2)BBBは脳血管内皮細胞、アストロサイト、ペリサイトで構成されている。ペリサイトのBBB機能に対する作用については不明な点が多い。本研究では共培養in vitro BBBモデルを作成し検討を行った。ペリサイトは脳血管内皮細胞のNa-F透過性を低下させP-gpの機能を増強した(BBB機能維持)。これはTGF-βを介した作用であることが判った。 以上、AGEはBBB機能低下作用を有しており、リウマチ病態下ではBBB機能の低下に伴うCsA/TCLの中枢毒性発現リスクが高い可能性が示唆された。また、BBB構成細胞であるペリサイトはTGF-βを介してその機能維持に貢献していた。薬物脳移行性の評価系として、ペリサイトを含めた共培養in vitro BBBモデルの有用性が示された。
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Research Products
(1 results)