2005 Fiscal Year Annual Research Report
北陸地域での建設作業者の石綿関連呼吸器疾患と呼吸器悪性疾患に関するコホート調査
Project/Area Number |
17390168
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
菅沼 成文 福井大学, 医学部, 助教授 (50313747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下 幸則 福井大学, 医学部, 教授 (70135680)
伊藤 春海 福井大学, 医学部, 教授 (40026943)
石崎 武志 福井大学, 医学部, 教授 (80151364)
村田 喜代史 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20127038)
久永 直見 愛知教育大学, 保健管理センター, 教授 (90111856)
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Keywords | 石綿関連肺がん / 非悪性石綿関連疾患 / 悪性中皮腫 / 建築業 / 低線量CT / 腫瘍マーカー / 高分解能CT / 分類 |
Research Abstract |
石綿の健康影響として中皮腫と少なくとも同数以上あるはずの石綿関連肺癌、非悪性石綿関連疾患の頻度については十分な検討がなされていない。一般集団でのらせんCT肺癌検診は鈴木らやHenschkeらにより早期肺癌の検出能力が高いことが示され、現在米国において無作為化比較試験が行われている。一般集団より肺癌リスクの高い石綿曝露者に対するCT検診については、1997年の石綿関連疾患に関するヘルシンキ会議では推奨されなかったものの、2000年のヘルシンキ会議では将来的には期待できるとの表現に変わった。また、この専門家会議から非悪性疾患に関する国際分類への研究班が形成され2005年に職業環境起因性呼吸器病の高分解能(HR)CT分類(Kusaka2005)を公表した。 通常の胸部CTでは10mGy程度の被曝があるため、非悪性疾患のみを標的とした石綿曝露健常人を対象とするCT検診は倫理的問題がある。われわれは石綿曝露のある集団において、年齢、喫煙歴を考慮して試験的に肺癌および非悪性石綿関連疾患を標的とする低線量CTスクリーニングを実施している。約3000名の建築業関係者の同業者組合会員の中でCTスクリーニング参加希望者を募り、16列マルチディテクタ(MD)CTを用いて低線量(25mAs,2mGy未満)腹臥位撮影を行い2mm厚で採取した情報を2mm厚のthin-sliceと7mm厚のthick-slice画像に再構成しそれぞれ非悪性疾患と悪性疾患の検索を行った。現在までに精密検査を要する肺癌疑いが3名、フォローアップを必要とする小結節影が数例発見された。また、石綿関連非悪性疾患の発見も胸部単純に比べ高率である。 今後、石綿曝露者を対象に毎年の肺癌を標的とした低線量CTスクリーニングを導入するのならば、いかなる基準(業種、期間、喫煙?)によって対象を決定し、どのようなプロトコール(25mAs? MDCT? CT+HRCT?)で行うかについての合意形成が必要である。CT検診の費用は現状では一人当たり15000円程度であり集団検診として導入するのであれば低価格化が必要であり、また、費用負担を誰が行うのか検討を要する。また、経年的な追跡を実施しなければ見逃し例が増加することも経験されており、導入については慎重な検討が必要である。一方、悪性中皮腫を標的とすると、CT検診での早期発見は難しい。今後、腹膜中皮腫も合わせてSoluble mesothelin-related protein, osteopontinなど血清腫瘍マーカーを用いたリスク集団の絞り込みを行った上で、CTを含めた適切な検査方法により検出するなど早期発見のプロトコル確立が急務である。このように、肺癌を含む石綿関連疾患に感度の高いCT検診導入には対象とする高リスク集団の明確化が不可欠であり、総合的に進めることが重要である。
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Research Products
(2 results)