2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト遺伝子導入動物を用いたプラスチック可塑剤の毒性の種差解明とリスク評価
Project/Area Number |
17390169
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
那須 民江 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10020794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上島 通浩 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80281070)
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Keywords | hPPARα-マウス / mPPARα-マウス / PPARα-nullマウス / DEHP / 肝発がん性 / 混餌 / 種差 / リスク評価 |
Research Abstract |
毒性発現の種差を考える場合、一番難しいのはヒトの情報である。キネティクスに関しては血中の化学物質濃度や尿中に排泄される代謝物から種差を論じることは可能であるが、ダイナミクスに関しては、ヒトの情報を得るのは倫理的に困難である。しかし、ヒトPPARα遺伝子を組み込んだマウス(hPPARα)を用いると、少なくともPPARαの機能の種差は明らかとなる。この研究において、キネティクスとダイナミクスの種差が大きく、かつその毒性発現が核内受容体PPARαに依存している化学物質の代表として、プラスチック可塑剤のフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(以下DEHPと省略する)を選択し、マウス型PPARα(mPPARα)-マウスとhPPARα-マウスおよびPPARα-nullマウスを用いて、17年度はDEHPの発がん性の種差とPPARαの役割を検討するための実験を開始した。 まず、アメリカNIHのGonzalez博士からhPPARα-マウスおよびPPARα-nullマウスを輸入し、クリーニングを行った。mPPARα-マウスは既に自家繁殖しているものを使用した。各遺伝子型同士で交配し、6週齢に達した雄マウスをそれぞれ4群(1群30匹)に分け、DEHP混餌(0、0.01,0.05,0.4%)を与え始めた。DEHP最高投与量は、野生型マウスのDEHPの発がん性のLOAELが0.4%であるという文献から設定した。0.01%DEHPは申請者らのこれまでの実験結果からDEHP発がん性のNOAELであることに基づいて設定した。0.05%はPPARα-nullマウスにおけるDEHPの発がん性のLOAELであることより設定した。現在実験進行中である。餌の摂取量は2〜3g/マウスで、グループ間の差は認められていない。体重は0.4%DEHP群において若干増加の遅延が認められるが、その他のグループ間に増加の差は認められていない。
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