2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト遺伝子導入動物を用いたプラスチック可塑剤の毒性の種差解明とリスク評価
Project/Area Number |
17390169
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
那須 民江 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10020794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上島 通浩 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (80281070)
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Keywords | hPPARα-マウス / mPPARα-マウス / PPARα-nullマウス / DEHP / DBP / 標的遺伝子発現 / DEHA / リスク評価 |
Research Abstract |
この研究において、キネティクスとダイナミクスの種差が大きく、かつその毒性発現が核内受容体PPARαに依存している化学物質の代表として、プラスチック可塑剤のフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(以下DEHPと省略する)を選択し、マウス型PPARα(mPPARα)-マウスとhPPARα-マウスおよびPPARα-nullマウスを用いて、18年度はDEHPの発がん性の種差とPPARαの役割を検討するための実験を継続した(実験は継続中である)。また、mPPARαとhPPARαのプラスチック可塑剤による転写活性化の差異を検討し、両者の機能の違いを検討した。DEHP, DEHA(アジピン酸ジエチルヘキシル),DBP(フタル酸ジブチル)を0、2.5、5.0mmol/kgをmPPARαマウスとhPPARαマウスに14日間投与し、PPARαの標的遺伝子発現をウエスタンブロット分析と定量リアルタイムPCR法を用いて検討した。DEHP, DEHA, DBPすべてのプラスチック可塑剤はPPARαを解したペルオキシゾームおよびミトコンドリアのβ酸化系酵素発現を誘導していた。その程度はmPPARαマウスの方が若干強かった。この傾向は蛋白発現においてもmRNA発現量においても観察された。これらのマウスのPPARα発現量は同じと報告されている。従って、今回得られた結果はmPPARαとhPPARαはその転写活性化において明らかに機能の差があることを示す。この結果はマウスとヒトのPPARαは機能が異なることを直接示すものであり、プラスチック可塑剤の毒性の種差に関連するかもしれず、重要な知見である。
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