2006 Fiscal Year Annual Research Report
食品由来物質による発がん予防機構の総合的解明と発がん予防薬開発への応用
Project/Area Number |
17390178
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
牟礼 佳苗 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90268491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 達也 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20150310)
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Keywords | 食品由来物質 / 発がん予防 / 突然変異 / DNA修復 / アポトーシス / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究は、食品由来物質の発がん抑制メカニズムを、発がんに至る各段階において総合的に解明し、効果的で安全な発がん予防法を開発することを目的とする。食品由来物質として、トマト由来リコペン、緑茶カテキン、ビタミンC、ビタミンE、バニリン、シナモン、大豆抽出物を選び、目的(1)突然変異抑制機構の解明、(2)ゲノムの不安定化抑制メカニズムの解明、(3)DNA修復能への影響(コメット法およびDNA修復関連遺伝子の発現定量法)、(4)細胞増殖機構への影響(アポトーシス、シグナル伝達への影響評価)、(5)エピジェネティックな影響評価の5つの目的について研究を進めてきた。 平成18年度においては、 1.目的(1)に関しては、リコペン、大豆抽出物についてシークエンス法を用いた突然変異抑制メカニズム解明を終えた。 2.目的(2)に関しては、リコペンがゲノムの不安定性を抑制する結果を得た。 3.目的(3)に関しては、すべての物質についてコメット法においてDNAダメージを抑制する結果を得、さらにリコペンはDNA修復関連酵素群・酸化ダメージ修復関連酵素群の発現を誘発する結果を得た。 4.目的(4)に関しては、ハムスター由来細胞を用いた研究において、リコペンにはアポトーシス誘発性がなく、また過酸化酸素誘発アポトーシスへの影響も示さない結果を得た。 本研究は、最も強い自然発生突然変異抑制効果を示したリコペンについて先行し、ついで他の物質について同じ方法で効果を検討している。今後、リコペンについて目的(4)のアポトーシスへの影響をヒト由来細胞を用いて検討し、さらにシグナル伝達への影響、目的(5)のエピジェネティックな影響について評価し、他の物質についても同様の方法で解析を進めていく。すべての物質について目的(1)から(5)を終えた段階で、組合せによる評価を行い、さらに他の食品由来物質についても解析し、より毒性の少ない安全な発がん予防法への応用を目指す。
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Research Products
(5 results)