2006 Fiscal Year Annual Research Report
地域高齢者の「虚弱(frailty)」の特微、成因および予防法の解明
Project/Area Number |
17390194
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
新開 省二 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究部長 (60171063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 佳典 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 主任研究員 (50332367)
吉田 裕人 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究員 (40415493)
天野 秀紀 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究助手 (90260306)
田中 千晶 桜美林大学, 健康福祉学部, 講師 (40369616)
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Keywords | 虚弱 / 老年症候群 / サルコペニア / 炎症 / 介護予防 |
Research Abstract |
「虚弱性チェックリスト(15項目15点満点)」を用いて「虚弱」(4点以上)を定義し、その疫学的特徴を明らかにした。以下項目1については、群馬県草津町の70歳以上在宅高齢者全員を対象とした訪問調査(平成13年実施、916人、98.8%が応答)、項目2から4については草津町および新潟県与板町の70歳以上在宅高齢者を対象とした医学的健康調査(平成17年実施、539人が参加)のデータを用いた。 1.「虚弱」の性、年齢階級別の出現頻度 年齢階級別の「虚弱」の出現頻度は、男性では70-74歳 19.5%、75-79歳 14.5%、80-84歳 35.7%、85-89歳 52.9%、90歳以上 60.0%であり、女性では同様に15.9%、31.3%、39.4%、60.9%、75.0%であった。 2.「虚弱」の身体・医学的特徴 「虚弱」である高齢者は「虚弱でない」高齢者に比べBMIがやや低かった(22.46 vs. 23.10、以下同)。体力では握力(18.1 vs. 23.1kg)、通常歩行速度(1.00 vs. 1.21m/sec)とも低く、その差は性、年齢を調整して極めて有意であった。認知機能(MMSEスコア)も低く(25.9 vs. 27.2)、その差は性、年齢を調整しても有意であった(P=.002)。 3.「虚弱」の栄養学的特徴 血液栄養マーカーでは、Hb濃度は低かった(13.10 vs. 13.85g/dl)が、Alb濃度(4.16 vs. 4.20g/dl)や総コレステロール濃度(200 vs. 198mg/dl)には有意差はなかった。性、年齢を調整してもHb濃度の差は有意であった。 4.「虚弱」の心理・社会的特徴 「虚弱」である高齢者は、健康度自己評価が低く(あまり健康でない以下、44.4 vs. 15.4%)、抑うつ度が高く(GDS短縮版6点以上、48.4 vs. 16.4%)、外出頻度が低く(毎日1回未満%、41.7 vs. 10.6%)、社会的役割得点が低かった(老研式活動能力指標同尺度3点以下、73.6 vs. 31.6%)。これらは性、年齢を調整しても有意であった。 「虚弱」はいまだ要介護状態ではないが、身体的、心理的、社会的機能が大きく低下しており、要介護状態となるリスクが極めて高い一群であるといえる。
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Research Products
(7 results)