2008 Fiscal Year Annual Research Report
疫学調査による化学物質過敏症の有症率把握と追跡調査による発症要因の検討
Project/Area Number |
17390197
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
中島 孝江 Osaka Prefectural Institute of Public Health, 衛生化学部,生活環境課, 主任研究員 (70250339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 恵美子 大阪府立公衆衛生研究所, 衛生化学部,生活環境課, 主任研究員 (60250338)
大山 正幸 大阪府立公衆衛生研究所, 衛生化学部,生活環境課, 主任研究員 (40175253)
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Keywords | 疫学調査 / 化学物質過敏症 / 大気汚染 / アレルギー / ぜんそく / 生活環境 |
Research Abstract |
近年、多種化学物質過敏症(MCS)が問題となってきているが、質問票調査でのMCS判定法は確立されておらず、一般人におけるその有病率は明らかではない。今回、1999年に公表されたMCSのコンセンサス(Arch.Environ.Health,54,147-149,1999)の基準に準じたMCS判定法(複数の臭いで複数の症状が起きるなど)を考案し、自己記入型の質問票で一般人におけるMCSの有病率把握とMCSの関連要因を調べることを目的として疫学調査を実施した。調査は、岸和田市の3歳6か月児健診受診者の母親を対象者とした。質問票は平成18年1月から平成19年12月までの該当者全員に郵送し、健診会場で回収した。また、その調査でMCSに判定された者とそうでない者を選出し、一次調査でMCSと関連が疑われた要因に関してさらにその関連性を明確にすることを目的とした質問票調査や数種の測定調査(二酸化窒素、ホルムアルデヒドの個人曝露濃度と屋外濃度、敷布団のダニ抗原量、尿中ニコチン代謝物濃度)による症例-対照研究を実施した。一次調査の対象者数は4325人、回収数は2044人で、回収率は47.3%であった。今回の判定法によるMCS有病者は118人(5.8%)で、関連要因としては「アトピー性皮膚炎有病者」、「粉塵吸入」、「シロアリ駆除」、「殺虫剤の室内噴霧」、「殺虫型ダニシート」、「現在室内で哺乳動物の飼育」、「台所でのカビ発生」、「痛み止めの服用」、「冷え性」が示唆された。症例-対照研究では「屋外農薬使用」がMCSの関連要因として認められ、MCSと農薬との関連性は一次調査より明確に示された。また、築年数が10年以内の人では新しい家に居住する人ほどホルムアルデヒド曝露量が少ない傾向が認められたものの、「個人ホルムアルデヒド曝露濃度」がMCSの関連要因として示唆された。尚、「一日の複数洗髪の経験」もMCSに関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)