2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生抑制シグナルを指標にした新規腫瘍休眠療法薬の同定
Project/Area Number |
17390207
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
七里 眞義 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教授 (10206097)
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Keywords | 血管新生 / エンドスタチン / アンサマイシン系抗生物質 / 転移抑制 / 血管新生抑制シグナル / メトロノーム抗腫瘍療法 / 臨床試験 / 腫瘍休眠療法 |
Research Abstract |
エンドスタチンやアンジオスタチンなどの血管新生抑制因子は最も有用な腫瘍休眠療法薬と位置づけられ、実験動物の固形腫瘍を著明に退縮させ、従来の抗癌剤のような薬剤耐性を示さないため注目を集めたがそのメカニズムは長く不明であった。研究代表者らはエンドスタチンによる血管新生抑制に関わる分子機構を発見し、その強力かつ広範囲な細胞内応答を「血管新生抑制シグナル」と命名したが、高感度real-time定量的PCR法にて類似のシグナルを示す物質を選択することにより、血管新生抑制作用を有する物質を効率的に見いだす方法を考案した。さらに、医薬品や合成ペプチドにもエンドスタチン型の血管新生抑制シグナルを示すものが一定の頻度で存在し、少なくともその一部は強力な抗腫瘍作用を示すことを見いだした。本研究ではこれまでの研究成果を発展させ、多数の薬剤、合成ペプチド、化合物の中から血管新生抑制シグナルを惹起する因子を探索し、これら新規腫瘍休眠療法候補薬剤の抗腫瘍効果、転移抑制効果についても腫瘍移植実験動物を用いて比較検討し、血管新生阻害作用以外の抗腫瘍作用メカニズムがないかどうかも検索しつつ、総合的な抗腫瘍薬としての作用の詳細を検討したところ、アンサマイシン系の抗生物質の中に長期経口投与可能できわめて有効な抗腫瘍効果を示す薬剤群を見いだした。これらは血管新生抑制作用を有するばかりでなく、直接の抗腫瘍効果を示すとともに、移植腫瘍の転移抑制効果も示すなど、最近のメトロノーム抗腫瘍療法の概念に合致した効果を示すものと考えられた。本研究の成果によって、今後、本薬剤群を用いた臨床試験の準備が進められている。
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Research Products
(5 results)