2006 Fiscal Year Annual Research Report
肝疾患における心身相関:動物モデルによる解析と前向きコホート研究を用いた全豹解明
Project/Area Number |
17390210
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
須藤 信行 九州大学, 大学院医学研究院, 助教授 (60304812)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永野 純 九州大学, 健康科学センター, 助教授 (10325483)
久保 千春 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (80117100)
|
Keywords | 心理・社会的ストレス / 脳-肝相関 / C型慢性肝炎 / 肝疾患マウスモデル / Fas / アポトーシス / 前向きコホート研究 / 疾患親和性性格 |
Research Abstract |
本研究では、「肝疾患動物モデルを用いた基礎的研究」と「C型慢性肝炎患者を対象とした5年間の前向きコホート研究」により"肝疾患への心理社会的ストレスの影響"について検討を進めている。 (1)基礎研究「疾患動物モデルを用いた肝疾患へのストレスへの影響」 これまでα-galactosylceramideを用いた急陸肝炎マウスモデルやB型肝炎マウスモデルにおいて、電撃ストレスやSocial disruptionストレスが、肝内Fas抗原を上昇させ、肝障害を増悪させることを明らかにした(Neuroimmunomodulation 12:375-379,2005,J Gastroenterol Hepatol 20:202-208,2006) 本年度は、こういった脳-肝相関の介在経路として迷走神経系の関与を想定し、検討を進めた。その結果、選択的肝枝迷走神経切除により、Fas抗体で誘発した急性肝炎の増悪を認め、ニコチン補充によりその増悪が相殺された。ストレスにより迷走神経系の神経活性が低下することは以前より知られていたが、この結果は、「ストレスが、肝枝迷走神経を介し、その神経伝達物質の受容体であるニコチン型アセチルコリン・レセプターに作用し、肝炎に決定的な作用を及ぼす」ことを示唆するものである。 (2)疫学研究「C型慢性肝炎における肝癌罹患への心理社会的ストレスの影響(5年間の前向き調査)」 上記の疫学研究のベースライン・データ収集は、平成15年度ですでに終了しており、エントリー患者総数は364名(慢性肝炎:272名、肝硬変:92名)であった。このベースライン・データを用い、横断的解析により心理・社会的尺度と肝炎重症度の相関を調べたが、有意な相関は認められなかった(心療内科9:284-289,2005)。 調査開始3年目、すなわち本年度は、ライフイベントとQOLについての調査票を患者に記入してもらい、経時的データの回収を行った。加えて、カルテと患者からの採血により、生化学データ、肝臓エコー所見、NK細胞活性値を収集した。
|