2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクター・ピロリ菌cagA遺伝子導入マウスにおける消化管病変進展の分子機構
Project/Area Number |
17390211
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
畠山 昌則 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (40189551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 健 神戸大学, 医学部, 教授 (60221040)
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Keywords | ヘリコバクター・ピロリ / CagA / トランスジェニックマウス / 胃粘膜 / チロシンリン酸化 / EPIYAモチーフ / 胃癌 |
Research Abstract |
ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)が保有する病原因子CagAは胃癌発症に深く関わる。本研究は、CagA蛋白を全身あるいは胃上皮細胞特異的に異所性発現するcagA遺伝子トランスジェニック(Tg)マウスを作成し、CagA依存的な消化管粘膜病変を分子病理学的に追跡することにより、生体内におけるCagAの病原性・発癌への関与を解明することを目的としている。cagA遺伝子発現コンストラクトの受精卵へのマイクロインジェクションは既に終了し、現在は樹立したcagA Tgマウスを用い、CagA発現が個体の発生・分化・病態発症に及ぼす影響について解析を進めている。これまでの解析から、CagAの全身的な持続発現は個体発生に致死的な効果を示さない一方、cagA Tgマウスの胃粘膜構築には明確な異常が認められ、CagAがマウス胃上皮細胞の細胞増殖・分化に強い影響を及ぼすことが個体レベルで確かめられた。一方、癌化には細胞の増殖異常だけでは不十分であり、複数個のさらなる癌関連遺伝子異常の蓄積が必要と考えられる。そこで、cagA TgマウスとP53遺伝子欠損マウスとの交配を行い、現在、得られた二重改変マウスにおける消化管病変の発症・進展を経時的に観察している。CagAはチロシンリン酸化依存的に細胞内標的分子SHP-2と結合することから、チロシンリン酸化はCagAの病原/発癌活性に必要不可欠な生化学的分子修飾であると考えられる。そこでCagAのチロシンリン酸化部位であるEPIYAモチーフ内のチロシン残基をフェニルアラニン残基に置換したリン酸化耐性型CagAを全身あるいは胃上皮細胞特異的に発現する"リン酸化耐性型cagA Tgマウス"を作製し、その病理学的解析を野生型cagA Tgマウスと平行して進めている。
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Research Products
(19 results)