2006 Fiscal Year Annual Research Report
PanINのEMT誘導因子の同定とその制御による膵癌の分化誘導療法の開発
Project/Area Number |
17390213
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下瀬川 徹 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90226275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 賢一 東北大学, 病院・助手 (10282055)
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Keywords | 膵癌 / PanIN / EMT |
Research Abstract |
本年度も前年度に引き続き、以下の点を明らかにするために研究を行った。 1)膵癌マウスモデル(DMBAマウス)を用い、PanINから浸潤癌にいたるEMT関連因子の変化を連続的に解析する、2)ヒト膵癌とIPMN組織におけるEMT誘導因子やSonic hedgehog(SHH)の発現を比較し、両者の悪性度の違いを分子レベルで明らかにする、3)PDX1をプロモーターとしたEMT関連遺伝子のベクターを構築し、膵管にのみ目的遺伝子が発現するtransgenic miceを作成する、4)EMT関連遺伝子のsiRNAを経膵管的にリポゾームを用いて導入し、DMBA膵癌モデルの治療効果を検討する. その結果我々は以下の点を明らかにした。 1)Notch signal活性化はDMBA化学発癌マウスにおいてPanIN類似部位から浸潤癌にいたるまで認めた。そこで、Notch signalの機能をヒト膵癌細胞株において確認すべく、特異的阻害剤DAPTによって膵癌細胞株のNotch signalを遮断した。その結果、cyclin D1の発現低下とともに、細胞増殖が抑制された。すなわち、Notch signalは膵癌細胞の増殖機構に関与していた。EMT関連遺伝子との関係については現在検討中である。 2)IPMN組織を用い、microdissectionによって各異型病変を摘出してreal-time RT-PCRにてSHH並びにその下流にある標的遺伝子Gli1の発現を検討した結果、それぞれの発現は過形成の状態、腺腫の状態から生じていた。同様の方法でEMT関連遺伝子の発現を検索中である。 3),4)の基礎検討として、TGFファミリーのひとつであるBMP4が膵癌細胞株のEMTを誘導することを明らかにした。BMP4によって発現誘導されるMSX2をRNAiによって発現抑制した膵癌細胞株ではそのEMT誘導が消失したことから、MSX2がこの過程に重要な役割を果たしていた。
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Research Products
(6 results)