2007 Fiscal Year Annual Research Report
PanINのEMT誘導因子の同定とその制御による膵癌の分化誘導療法の開発
Project/Area Number |
17390213
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下瀬川 徹 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (90226275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 賢一 東北大学, 病院, 助教 (10282055)
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Keywords | 膵癌 / PanIN / EMT |
Research Abstract |
本年度は、1)同じく膵管を発生母地としながら,浸潤性増殖を示し予後の悪い膵癌と進展性発育を特徴とし,浸潤,転移を示す事の少ない膵管内乳頭状粘液腫瘍(IPMN)の生物学的違いをもたらす遺伝子を同定し、2)それら遺伝子群の機能解析により膵管の上皮変化に関与する因子、epithelial to mesenchymal transition(EMT)のスイッチ・オン・オフを調節する因子を解析し、悪性転換,浸潤獲得の分子機序を解明することを目的に研究を行った。 その結果、1)正常膵管細胞株で全く発現がみられず、またIPMNにおいて膵癌と比べ発現の低い遺伝子として、homeobox遺伝子群の一員であるMSX2を同定した。2)この遺伝子を、相対的に発現の低い膵癌細胞株のBxPC3に導入して機能解析を行った結果、in vitroにおける増殖能、移動能、さらにソフトアガー上でのコロニー形成能の亢進を認めた。同時に、E-cadherin発現の低下とβ-cateninの核発現の低下を認め、EMTが誘導されていた。また、MSX2強制発現BxPC3をヌードマウスの膵臓に同所移植すると、コントロール細胞株に比べ有意に高頻度に肝転移を示すようになった。一方、siRNAにてMSX2を発現抑制した膵癌細胞株Panc-1では、in vitroでの細胞移動能の低下、E-cadherin,β-cateninの発現の回復、および、ヌードマウスの同所移植による肝転移の抑制を認めた。以上から、EMTを調節している因子のひとつがMSX2である可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Up-Regulation of MSX2 Enhances the Malignant Phenotype and Is Associated with Twist 1 Expression in Human Pancreatic Cancer Cells.2008
Author(s)
Satoh K, Hamada S, Kimura K, Kanno A, Hirota M, Umino J, Fujiuchi W, MasamuneA, Tanaka N, Miura K, Egawa S, Motoi F, Unno M, Vonderhaar BK, Shimosegawa T.
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Journal Title
Am J Pathol 172
Pages: 926-939
Peer Reviewed
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