2005 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞特異的分子アディポネクチンの抗肝発癌作用に関する研究
Project/Area Number |
17390217
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田村 信司 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30243223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船橋 徹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60243234)
木曽 真一 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40335352)
渡部 健二 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50379244)
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Keywords | アディポネクチン / 非アルコール性脂肪性肝炎 / 肝発癌 / メタボリックシンドローム / LPS / コリン欠乏アミノ酸置換食 / Kuppfer細胞 |
Research Abstract |
メタボリックシンドロームの肝での表現型である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が肝硬変から肝細胞癌に進展することが大きな問題となっている。また、肥満の寄与率が最も高い男性の癌死亡原因として肝細胞癌があげられている。NASHの成因として、肝への中性脂肪の蓄積(1st hit)と引き続いておこる酸化的ストレスやエンドトキシン等の炎症性負荷(2nd hit)により肝炎に移行するとするtwo hit仮説が一般的に認められている。アディポネクチン(ADN)はメタボリックシンドロームの発症・進展におけるキー分子であり、肥満により血中濃度が低下する。ADN低下が肝臓の脂肪化、線維化、発癌に及ぼす影響を明らかにするため、ADN KO(KO)マウスを用い検討した。NASHの動物モデルとしてコリン欠乏アミノ酸置換(CDAA)食投与を用いた。CDAA食投与1週で野生(WT)マウスではほとんど肝脂肪沈着を認めなかったのに対しKOマウスでは著明な肝脂肪沈着が認められた。CDAA食投与4週では両マウスともに著明な肝脂肪沈着を認めたが、ADNを発現するアデノウイルスベクターを静注した群では脂肪沈着をほとんど認めなかった。CDAA食投与24週でWTマウスでは著明な脂肪肝を呈したのみであったが、KOマウスでは雄の75%、雌の25%に肝硬変および肝臓癌を合併していた。 一方、ADN KOマウスではLPS/D-galactosamin投与により著明な肝障害を呈し、生存率もWTマウスに比し有意に低かった。培養Kupffer細胞におけるLPS刺激後の炎症性サイトカインであるTNF-α産生がADNにより有意に抑制され、抗炎症性サイトカインであるIL-10の産生が有意に増強した。以上の結果からアディポネクチンはNASHの発症・進展に抑制的に作用し、肥満におけるアディポネクチン産生低下が肝発癌を促進することが考えられる。
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Research Products
(4 results)