2005 Fiscal Year Annual Research Report
心血管病におけるミトコンドリア転写因子の役割の解明と新規治療の開発
Project/Area Number |
17390223
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
筒井 裕之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70264017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 聡 北海道大学, 病院・講師 (90291228)
三輪 聡一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40157706)
千葉 仁志 北海道大学, 医学部・保健学科, 教授 (70197622)
康 東天 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (80214716)
市川 和洋 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (10271115)
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Keywords | 遺伝子 / 糖尿病 / 内科 / 細胞・組織 / 循環器・高血圧 |
Research Abstract |
ミトコンドリア転写因子A(mitochondrial trapscription factor A ; TFAM)は、ミトコンドリアDNAの複製および転写調節を介してミトコンドリア機能制御を担う転写因子のひとつである。TFAMはさらに上流に存在するPPAR-gamma coactivator-1(PGC-1)やNuclear responsive factor(NRF-1/2)などの転写因子の制御を受けている。このような因子は、ミトコンドリアにおけるエネルギー産生、酸化ストレス、アポトーシスを制御し、共通の分子機構として、心血管病(動脈硬化や心不全)の発症・進展に密接に関与すると考えられる。 本年度は、TFAMに着目して研究を推進した。心筋梗塞後心不全モデルマウスの心筋ミトコンドリアでは酸化ストレスが亢進しており、ミトコンドリアDNA傷害とともにTFAM蛋白の低下をみとめた。TFAMの役割を明らかにするためヒトTFAM遺伝子を過剰発現するマウスを新たに作成した。このマウスを用いて、心筋梗塞後心不全を作成したところ、生存率が改善し、心筋の収縮機能の低下や心筋リモデリングが抑制された。このマウスでは、ミトコンドリアDNAの傷害が抑えられ、ミトコンドリアの機能も正常に保たれていることから、TFAM発現の活性化によってミトコンドリアが傷害から保護されることが明らかとなった。以上よりTFAMの活性性は、ミトコンドリア傷害および酸化ストレスの軽減を介して新たな心不全治療戦略となる可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)