2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17390226
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
南野 徹 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (90328063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小室 一成 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (30260483)
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Keywords | 血管再生 / サイトカイン / 筋再生 |
Research Abstract |
心血管系の再生治療の方法として、これまで骨髄細胞が主に用いられてきたが、採取に全身麻酔を必要とすること、骨や脂肪への分化が懸念されることなどから、我々は末梢血単核球を用いた血管再生治療の開発を行なった。基礎実験の結果、骨髄細胞とほぼ同程度の血管再生能力があることがわかった。その後、従来の治療法では下肢切断が免れない重症下肢虚血患者に末梢血単核球を用いた血管再生治療を行ない、救肢率80%以上、疼痛や潰瘍の改善率70-80%など良好な効果を確認した(Lancet 2002)。その高い安全性と有効性から日本で初めて高度先進医療の認定を受けることができた。臨床データの解析から、その有効性は、移植された幹細胞数には相関せず、治療後の血管新生促進性サイトカイン値の上昇と相関することが明らかとなった。当時、移植された細胞から放出されるサイトカインがその効果に重要であると考えられていたが、我々が行なったサイトカインのノックアウトマウスを用いた基礎研究から、単核球移植により、虚血肢の骨格筋細胞が刺激され、骨格筋によるサイトカインの発現が亢進することが明らかとなった。さらに詳細な検討を重ねた結果、単核球によって移植部の骨格筋細胞の再生が誘導され、再生中の細胞から豊富に分泌されるサイトカインが血管の再生を促進することが、本治療の作用メカニズムであることが明らかとなった(Circ Res 2006)。我々は顆粒球コロニー刺激因子による心筋梗塞後のリモデリング抑制効果の作用メカニズムについても解明したが、末梢血単核球を用いた血管再生治療のメカニズムと多くの共通点があることもわかった(Nat Med 2005)。今後、その作用メカニズムの解明によって、さらに有効性の高い血管再生治療の開発が期待される。
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Research Products
(6 results)