2005 Fiscal Year Annual Research Report
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病因、病態、病型別自然歴に関する統合的研究
Project/Area Number |
17390239
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西村 正治 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00208224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜澤 伸之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00301896)
別役 智子 北海道大学, 病院・講師 (60333605)
南須原 康行 北海道大学, 病院・講師 (30322811)
小野寺 裕也 北海道大学, 病院・助手 (10272064)
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / COPD / 肺気腫 / 喫煙 / Laser capture microdissection / 気道被覆液 / マイクロサンプリング法 / コホート研究 |
Research Abstract |
本研究について、本年度は一定の成果をあげることができた。短期、長期喫煙暴露による肺障害マウスモデルを作成し、細気管支上皮における遺伝子発現のin vivoにおける経時的変化を定量することができた。特に、好中球遊走に関与するCXCケモカインであるKC、MIP-2に注目して、それらの発現誘導と、好中球集積に関する知見を得た。我々は、喫煙の急性効果と慢性効果の気道上皮の反応性の違いを明らかにし、その機序を解明する研究に取り組んでいる。同様にヒトの手術肺を用いて、我々はCOPD病変に及ぼす加齢と喫煙の相補的影響を明らかにしている。ヒトの肺検体から、laser capture microdissection(LCM)法を用いて、細気管支上皮を選択的に採取する方法を確立した。慢性喫煙暴露モデルにおいてスクリーニングされた遺伝子群の中から、COPD患者において選択的に上昇・低下する遺伝子をスクリーニングした。気管支鏡を用いて採取した末梢気道上皮細胞を用いる研究において、初代培養に成功した。ex vivo環境下での機能保持、分化に及ぼす基底膜の立体構造の影響について研究中である。この成果を喫煙暴露の有無の条件下に応用する方法を確立しようと検討中である。 また、北海道COPDコホート調査として307名の登録を行った。その中で、52名のCOPD患者を対象として、気道の評価を行った。対象とした気管支は、右肺尖枝のB1と右前肺底枝のB8で、それぞれ3次分岐から6次分岐までの気道内腔面積(Ai)と気道の外周で囲まれた気道の総断面積に対する気道壁の割合(WA%)を測定した。B1の一部を除いて、Ai、WA%とも、対標準1秒量と有意な相関を示した(WA%は逆相関)。さらに、Ai、WA%とも、末梢の気管支ほど相関係数が大きかった。気道病変と他の呼吸機能検査パラメーターとの関係においては、閉塞性障害の指標である、1秒率、残気量などは対標準1秒量と同様であったが、拡散能などの他の指標との相関は全く認められなかった。
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