2006 Fiscal Year Annual Research Report
プロレニン分子立体構造に基づくレニン・アンジオテンシン系非依存性糖尿病性腎症治療
Project/Area Number |
17390249
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
市原 淳弘 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60203105)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金城 雪 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50338034)
|
Keywords | プロレニン / プロレニン受容体 / 糖尿病 / 腎臓 / レニン・アンジオテンシン系 |
Research Abstract |
2002年のNgyuenらがJ Clin Invest誌に報告した研究では、ヒトプロレニンとヒトプロレニン受容体の結合体はアンジオテンシン系とは独立したチロシンリン酸化作用を有することが明らかにされている。そこで、平成18年度においては、ヒト血管平滑筋細胞において、細胞膜表面発現ヒトプロレニン受容体の存在をRT-PCRおよび特異抗体を用いて証明し、組み換え型ヒトプロレニンと細胞膜表面発現ヒトプロレニン受容体との結合および酵素活性化(羊アンジオテンシノーゲンのアンジオテンシンI化)を生化学的に検討した。その結果、ヒトプロレニン受容体はヒト血管平滑筋細胞の細胞質内核膜近傍に存在し、プロレニン負荷により受容体蛋白は核内に移動することが判明した。また、組み換え型ラットプロレニンと組み換え型ヒトプロレニン受容体との結合および酵素活性化も観察したところ、ラットプロレニンはヒトプロレニン受容体に結合し、受容体細胞内伝達シグナルを活性化するものの、ラットプロレニンは非蛋白融解的に活性化されないことが判明した。さらに、ヒト血管平滑筋細胞において、組み換え型ヒトプロレニンは細胞内MAPキナーゼ系活性化・細胞増殖作用を有することが明らかになり、この作用は十分量のアンジオテンシン変換酵素阻害薬存在下で阻害されず、siRNAによるヒトプロレニン受容体ノックダウンで完全に抑制された。以上の結果より、ヒトプロレニンはヒト血管平滑筋細胞において、プロレニン受容体を介してアンジオテンシンII非依存性にMAPキナーゼ系を活性化し細胞増殖に働くことが示された。
|
Research Products
(6 results)